今月、韓国の国家財政を管理する経済官僚らが一斉に「財政負担」を吐露した。現在与党が主張する全国民の災害支援金を支給することになれば、税収が減り債務が増える日本の「ワニの口グラフ」と同じ現象が韓国でも起きることになるという憂慮のためだ。
ワニの口グラフとは、日本政府の1970年代から現在までの税収と支出の流れを示したグラフである。2本の線が広がっていく様子が口を開けたワニのように見えるためつけられた名前である。
1980年代末までは、日本の税収・税出のグラフは平行だった。1990年を基点にとしてその距離は急速に開き始めた。少子高齢化による政府が使うお金は増える一方で、成長停滞などで税収は減ったために生じた現象であった。
その後グラフはさらに開き、2000年代半ばには完全な「ワニの口」になった。この両者間のギャップを埋めようと国家債務を増やした結果、1990年に64%だった日本の国内総生産(GDP)に対する国家債務比率は、昨年には266%にまで上った。
ワニの口のグラフの主な原因である少子高齢化の速度を見ると、韓国も世界最高水準である。
国家債務の急増も、やはり日本に続き韓国でも同じように起こっている現象である。
日本はGDP対比国家債務比率が32%(1977年)から200%を超える(1990年)まで、わずか13年だった。韓国は2019年37.1%であったGDP比債務比率が2年後の今年は47.3%(本予算基準)と10ポイント以上急増した。
現在、韓国与党は、全国民の災害支援金と関連財政の拡大を通じて景気萎縮緩和を目指している。つまり、国家が国民を直接サポートすることにより、内需を振興し、コロナで低迷している景気を活性化するというものである。
これは学問的には間違っていない。政府と与党の意見が分かれている部分は、総論ではなく各論である。ホン副首相をはじめとする経済官僚は、本当に必要な部分だけに財政投入をしなければ、韓国が遠からず日本のような問題に直面することになるとみている。
ここでの「日本のような」という言葉には、いくつかの意味が含まれている。一つは増税の可能性だ。
日本は低成長社会進入に伴う財源確保のために、2012~2019年に3回(5%→8%→10%)に渡って消費税を引き上げた。
間接税である「消費税」は、韓国の「付加価値税」に相当する。昨年からは韓国でも付加価値税引き上げの論議が起きている。
日本の政界は、国家財政全般に構造調整が必要であることを認識しながらも、国民の支持を得ようと改革の先送りが繰り返された。これは消費税引き上げを断行した安倍前政権も同様で、一度悪化した国の財政は、なかなか回復する動力を見つけるのは難しいことを端的に示している。
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