MBC月火ドラマ『弁護士たち』で悪役を演じている“アレックス・ユン”ソッキ(キム・ソンス)は、いわゆる自分の後見人のために献身的な人生を送る。

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天涯孤独のソッキは、誰かの手助けなしには自立できない。血縁の父がいない代わりにソッキは、社会的な意味の“父”を必ず背負う。

若く純粋だった浪人生時代の後見人はジュヒ(チョン・ヘヨン)の父、金院長だった。金院長は“司法試験で受かっても落ちても” 婿養子として迎えるつもりでソッキの世話をしてきた。そしてソッキと合格の喜びを分かち合った直後に交通事故で亡くなってしまう。

ジュヒの父の死により、精神的なショック状態に陥ったソッキに現れた新しい後見人ホン・インギ(パク・ヨンジ)は、人生の方向まで変えてしまった。権力者の隠匿資金管理者であるホン・インギは悪役ではあるが、強力な権力と力を所持している。彼はまるで映画『スターウォーズ』シリーズのダース・ペイダーのような暗いカリスマでソッキを操る。

ジュヒのために事件の真実を暴こうと走りまわるソッキが、突然ジュヒを裏切りホン・インギにとりいった本当の理由もそこにある。新しく尽くす後見人を探せなかったソッキの精神的なショックを、ホン・インギが埋めてくれたからだ。

ソッキは成功に対する保証ではなく、ホン・インギによって象徴される“父性”に惹かれていったようだ。いい父だろうが悪い父だろうが、ソッキは自分を注視してくれる父の視線がなければ生きていけない存在だ。仮に、利用されて見捨てられても、それはソッキの宿命なのである。

『弁護士たち』はこのように孤児を精神的不具者、もしくは未成熟状態に描くことによって、血縁地縁で結び身動きも取れない韓国社会とまったく無関係に、“100%悪役”を遂行する存在を創出した。孤独なソッキは、悪魔に霊魂を売ったことを証明するかのように悪行をはたらき、自ら破滅するに決まっている。

“正常な”家庭で育ち、情が深いソ・ジョンホ弁護士(キム・サンギョン)の任務は、正義の名でこんなソッキを審判、いや、除去することにある。

そうでなくても孤児というだけで、偏見と先入観を捨てられない我々の現実で、天涯孤独のソッキが見せる脅迫的な悪魔性は、隠れながらも孤児に対する根深い偏見を固くする憂慮さえも持っている。

『弁護士たち』が善悪の構図と三角ロマンスの中に隠している本当のミステリーは、孤児達を永遠の打者に作ろうとする陰険な偏見である。

文:キム・ウォン(文化批評家)

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