【ソウル聯合ニュース】韓国政府は30日、2016年度(1~12月)予算に比べ3.7%増となる総額400兆7000億ウォン(約37兆円)の17年度予算案を閣議決定した。05年度の予算は209兆6000億ウォンだったが、12年で約2倍に膨らみ、初めて400兆ウォンを超えることになった。来年度の歳入は6.0%増の414兆5000億ウォンと見込まれる。 来年度の予算案は、若者雇用、少子・高齢化対策の費用が膨らみ、保健・福祉・雇用分野の予算が初めて130兆ウォンに達した。国防予算は40兆ウォンを超えた。 政府は、韓国の経済・社会構造変化などに対応するため財政が積極的役割を果たすべきだとし、中長期の財政健全性を損なわない範囲内で可能な限り拡張的に編成したと説明している。 韓国経済を取り巻く環境は厳しい。世界経済は低成長から抜け出せないままで、米国の利上げや保護貿易主義の広がり、英国の欧州連合(EU)離脱決定による影響も危惧される。また、韓国経済のけん引役となるべき輸出は、7月まで19カ月連続で前年割れし、内需不振も重なっている。造船や海運をはじめとする主力産業に構造調整の嵐が吹き荒れており、若者の失業や少子化問題は改善の兆しが見えない。一方で、貧富の差の拡大や高齢者の貧困により福祉需要は急激に高まっている。財政赤字や債務増加を甘受してでも財政支出を拡大せざるを得ない状況だ。 その結果、来年には政府債務残高が683兆ウォンに膨らみ、対国内総生産(GDP)比で初めて40%を突破する。これに対し、財政収支は28兆1000億ウォンの赤字で対GDP比1.7%と、今年に比べやや改善する。こうした計画を基に、政府は財政拡大と健全性の維持という二兎を追う考えだ。 700兆ウォンをうかがう債務を踏まえると、財政健全化はいくら強調してもしすぎることはない。福祉需要が急増するなか、有権者の歓心を買うための公約や政策があふれかえる来年末の大統領選挙を前に、財政状況の悪化を心配する国民は多い。 こうした状況で、財政の効率化が切実に求められている。政府はさまざまな政策を打ち出しているが、少子化や若者の失業問題は改善がみえない。政策の精度が低く、必要なところへ必要な支援が回っていないためだ。政府は不要不急の財政支出の見直し、類似・重複事業の統廃合、財政事業評価の強化を口ぐせのように繰り返しているが、効果は上がっていない。 政府は予算案を来月国会に提出するが、国会は審議の過程で非効率または無駄な予算を見つけ出すべきだ。ただ、研究開発(R&D)予算は効率化重視で微増にとどまったが、成長エンジンの確保という観点から望ましくないと考える。 予算案はほぼ毎年、法定期限内に成立していないが、国民生活を考え、今年はぜひ期限を守ってほしい。
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