歌手BoA
歌手BoA
失った恋は、どうすれば思い出に変わるのだろう…。心にぽっかりと空いた大きな穴は、永遠に埋まることがないような気すらしてしまうけれど、“正しい恋の終わり”を経験すれば、女は必ず強く美しく再生するし、その先の恋も人生もますます輝かしいものになる。

BoA の最新ニュースまとめ

 韓国出身の歌手BoAが1年2か月ぶりに日本でリリースしたシングル「Only One」は、失った恋の痛みを洗い流してくれる、極上の失恋ソングだ。「Only One」が導いてくれる、正しい恋の終わらせ方とは?

■失恋を“大切な思い出”にするために
“終わった恋”と向きあうために、失恋ソングを聴いてみよう。良質な失恋ソングは、乾ききった心に染みこみ、奥のほうで沈殿している感情の澱を洗い流してくれる作用がある。

 BoAの「Only One」は、ひたすらにせつない。メロディアスな曲調も、澄んでいるのに憂いのある歌声も、その憂いが幾重にも重なったコーラスも、悲しいのに美しくて優しくて、ただ耳を傾けているだけでも、その世界の奥へとするりと引き込まれてしまう。さらに、涙腺を刺激するのが、彼女自身が綴った歌詞だ。ここに紡がれている“恋の終わりの物語”は、リアルだ。恋が終わるときの情景を鮮明に描いて、聴き手の記憶と五感を刺激しながら、心にしまっていた複雑な感情の在処に気づかせてくれる。

 「女は、終わった恋に未練を抱かない」と思われがちだけど、それは真実じゃない。あの時、素直になれなかったことに、最後まで伝えられなかった言葉があることに、女は悔やみながら生きている。ただ、立ち止まる時間はないし、止まれば、二度と進めなくなりそうだから、いつもは封じ込めているだけなのだと気付かされる。

 BoAは、そんな恋の不条理や、女のせつない葛藤を包み込むように理解して歌う。どれだけ愛しても別れの運命が訪れることはある。今は、ただ悲しみに溺れて苦しいだけだけど、だからといって、その思いを消去しなくていい。彼を嫌いにならなくていいし、ましてや自分を責めなくてもいい。恋の記憶は、痛みも後悔もふくめて、いつか宝物になるし、心から愛した人は、別れても、Only One-唯一の人であっていいのだと教えてくれる。せつなくも前向きな再生の曲だ。

 お気に入りの失恋ソングは、涙が絞りきれるまで何度も何度もリピートして聴き続けたい。一晩だけじゃなくていい。心が穏やかになるまで、幾つもの夜を費やしてもいい。音楽は不思議だ。同じ曲を聴いていても、自分の心の変化とともに聴こえ方が少しずつ違ってくる。「Only One」が心と身体のすみずみまで満ちていくうちに、いつの間にか、後悔と悲しみと痛みは、別な感情に昇華して、かけがえのない宝物のような記憶になる。その時、終わった恋も、“永遠”は永遠になるし、きっと新たな希望が萌芽しているはずだ。

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