【ソウル聯合ニュース】北朝鮮脱出住民(脱北者)支援に取り組む韓国人活動家、金永煥(キム・ヨンファン)氏が中国当局から拷問を受けたとされる問題で、韓国と中国の外交対立が長期化する様相を見せている。
 再調査を求めている韓国側に対し、中国側は拷問を加えたことを否定しており、両国関係が悪化する「最悪のシナリオ」に発展する恐れがある。
 金氏は強制追放される形で先月に韓国へ帰国し、中国当局から電気を使った拷問や暴力を受けたと主張した。韓国政府当局者は「金氏の陳述は極めて生々しいが、中国側は具体的な説明もなく否定している」と述べ、中国側の立場を受け入れられないとの考えを示した。その上で、今後の両国の要人訪問や会談などで同問題を中国へ提起する方針を伝えた。
 韓国政府としては中国の態度を変更させる「決定打」がないのが現状だ。
 金氏の国連などへの問題提起を積極的に支援することや、中国内に収監されている韓国人全員に対し、領事が面談を行うこと以外にはこれといった対策がない。
 韓国政府は同問題を国際刑事裁判所(ICC)や国際司法裁判所(ICJ)に提訴することを検討したが、実現の可能性は大きくない。ICCが扱う「人道に反する犯罪」は金氏のような個人の事例は対象外としている。さらに、中国はICCのローマ条約に調印していないため、提訴が困難になっている。中国が加わっているICJに提訴するためには、明確な拷問の証拠が必要だ。
 外交関係者からは問題の再発防止に焦点を当てるべきとの声も出ている。国立外交院のユン・ドクミン教授は「両国問題に悪影響を与えるといってなかったことにするよりは、引き続き問題を提起し、韓国に対する中国の認識を変えていく必要がある」と指摘した。

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