SBS週末特別企画ドラマ『春の日』(脚本:キム・ギュワン/演出:キム・ジョンヒョク)のチョ・インソンは魅力的なキャラクターである。現代人ならキッチリ人間のチ・ジニ(ウノ)より“泣き虫”チョ・インソンの方に惹かれるだろう。

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チョ・インソンは、金持ちの院長の息子だが、トラウマに悩まされるウンソプ役を好演している。一見『バリでの出来事』で演じたキャラクターの二番煎じのように見えるが、内面の苦しみを、最近の若者たちが好みそうな漫画的な要素を加えて表現し、重過ぎないイメージに仕立て上げた。

だから反抗児的でありながら可愛げがある。衣装も、我がままな金持ち坊ちゃんには“ぴったり”だ。彼の赤いコートは“不調和の調和”の頂点といえよう。この姿に、女性たちはぞっこんはまり込む。

ウンソプは幼少時、母(イ・フィヒャン)がリストカットするところ、父がミスで患者を死なせたところを目撃してからというもの、死に対して恐怖を感じるなど、人格的な障害を持っている。性格上、医師になれないウンソプは、医者である腹違いの兄(ウノ)の地位を奪えという母の強要に勝てずにインターンとなった、過保護の典型だ。

そんな彼は兄の彼女(コ・ヒョンジョン)に片想いする。型どおりの設定だが、作者とウンソプは、これを型どおりのままにしておかなかった。辛いと知りつつも、ウンソプがコ・ヒョンジョンに惹かれるのは、兄の全てを奪わねば、という強迫観念のためだけではなく、母に感じられなかった母性を彼女から感じたからである。

常に疎外され、拒否されてきた彼の苦しく切ない片想いの様子はとめどなく保護本能を刺激する。

「やめて。僕の前を一人で歩くのは。僕に背中ばかり見せないで」

一体、どんな女がチョ・インソンのこの台詞を聞いて背を向けられるだろうか。彼を慰めたい衝動を抑えきれる年上の女は何人いるだろうか。

なにより『春の日』を魅力的にしているのは、陳腐な三角関係(ハン・ゴウンが加わって四角関係か?)が、裏切りと復讐、悪意のような三角関係の典型を含んでいるのではなく、愛を通して成熟していく姿を感じさせるというところだ。チョ・インソンは“人”に成長していく姿を“不安に、不安定に”描いている。チョ・インソンは“自分の女にしたいけど、愛を知らない自分には、この世の何よりも大変なことだ”というメンタリティーを自分だけのものとして構成した。ところで、チョ・インソンは劇中でもまた死という悲しい選択を迫られるような、不吉な予感がしてならない。

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