4日、京畿道平沢市彭城邑大秋里(キョンギドピョンテクシ・ペンソンウプ・テチュリ)。

「米軍基地移転」をめぐり1年2カ月間続いた対立が衝突に変わった現場だ。1万6千人余りの軍人(2800人)と警察(1万3492人)が動員された。

米軍基地移転反対デモを主導して来た汎国民対策委員会(汎国民対策委)所属加盟権と一部住民、学生など1100人を強制退去させ、建物を撤去する行政大執行のためだった。公権力投入10時間後に対立を終えた警察は、現場で524人を連行して26の警察署に分散、取調べを行っており、すべて司法処理される方針だ。警察によるとこの過程で210人(警察117人、デモ隊93人)がけがをして病院に運ばれ、このうち83人(警察6人、デモ隊77人)は骨折など重傷を負った。

国防部は29キロにわたる鉄条網設置作業を完了し、警察が24時間境界勤務に立つ。これを見守る現場内外の視角と観点は多様だ。汎国民対策委は警察に力強く抵抗し、敵意をあらわにした。しかしすでに移住を終えた大部分の住民は汎国民対策委に疑惑の視線を送り、冷淡な反応を見せている。

国防部「韓米同盟・均衡発展のために」◆ 国防部の対応=尹光雄(ユン・グァンウン)国防部長官はこの日、対国民談話を発表し「国策事業が正常に進行できなければ外交的信頼を失うことはもちろん、移転事業費増加、国家財政および国民追加負担所要が発生するという点を勘案し、これ以上この事業を延期することができないという判断をするに至った」と述べた。

長官は「在韓米軍の平沢移転は韓米同盟関係を強化することで韓半島での戦争を抑制し、国土の均衡発展を目指して推進してきた我々の要求による不可避な選択の事業」とし「一部の反対勢力が地域住民を人質として国策事業を政治的闘争行動の対象とすることは国益や地域住民のために決して望ましくない」と明らかにした。また「これから耕作地確保に困難があるとか移住地域に不満がある住民と積極的に話し合うつもりであり、引越に関することなど、今後数年間、支援していく」と明らかにした。国防部はこの日、政府が買収した平沢米軍基地予定敷地(349万坪)を軍事施設制限保護区域に設定したと平沢市庁に伝えた。

汎国民対策委「米軍撤収、平沢を守ろう」◆汎国民対策委の抵抗=この日午前7時20分ごろ、警察が基地移転反対者たちが集結している大秋分校を完全に封鎖すると汎国民対策委会員らは座り込みに突入し、対立した。続いて学校の中にデモ隊を連れ込みガラスの砕片や植木、練炭などを次から次へ投げつけて激しく抵抗した。一部は消火器を警察に噴射して石を投げたりしたほか、軽油を振り撤きながら火をつけると脅かしたりした。デモ隊は4つの教室に分かれ、腕組みをして横になったまま「在韓米軍撤収せよ」「平沢の地を守ろう」などと叫んだが、警察によって1人ずつ連行された。

米軍基地拡張移転反対を主導してきた汎国民対策委は表向きに「米軍基地拡張は大秋里住民たちの生存を脅威する行為」と主張してきた。しかし昨年2月、汎国民対策委が大秋里に入ってきて、農民たちの闘争行動の方法が「生存権守護」から「米軍基地移転反対」と「在韓米軍撤収」に変わり、闘争が激しくなった。

村のあちこちに掲げたプラカードや旗の文句が変わり、町内会館前農協倉庫に米軍基地をシャベルで掘り起こす大型の絵を描いた。闘争行動目標が米軍撤収に集まったのだ。






離れた住民「外部勢力が農民捨てた」◆汎国民対策委に冷淡=「移転反対住民たちは汎国民対策委など外部勢力に利用された」--。不自由な足をひきずって大秋里を訪れ、公権力投入現場を見守ったパン・ヒョジュンさん(64、写真)は複雑な思いで舌打ちした。

パンさんは米軍基地移転受け入れ地区である大秋里と棹頭里(トドゥリ)一帯315世帯の中でいちばん先に移住した農民だ。3代が暮らしてきた大秋里の家と農耕地(690坪)を譲り、4億2000万ウォン(約5075万円)の保障金を受け取った。隣近の玄花里(ヒョンファリ)に30坪のマンションを借りて暮らしている。来年、国防部が造成した移住団地に住む。

パンさんは内容をきちんと取り上げてほしいと言い、写真撮影も許可した。

--保障金総額も多くないのにいちばん先に保障を受けた理由は。

「私も初めは故郷の地を離れたくはなかった。教師や公務員である息子たちの顔もあったが、国家政策なのだから多少犠牲があっても政府の言葉を聞かなくてはならない」

--大秋里住民たちが基地移転に激しく反対する理由は。

「村に入って来た汎国民対策委が純朴な人々を皆捨てていった。元々そんな人々ではなかったのに…」

--汎国民対策委会員や移転反対住民に反感は買わなかったか。

「その話はするな。(私が)勝手に保障に応じたと汎国民対策委幹部からも町内の一部の人からも罵倒された」

--米軍基地移転に対してどう思うか。

「大韓民国はまだ米国と緊密な相互協調を通じて国を強くしなければならないと思う」
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