「梨泰院の歩道を拡張すべき…」5年前の政府報告書が実行されていたならば=韓国報道(画像提供:wowkorea)
「梨泰院の歩道を拡張すべき…」5年前の政府報告書が実行されていたならば=韓国報道(画像提供:wowkorea)
イテウォン(梨泰院)での圧死事故が発生したハミルトンホテルの近くの歩道を広げる必要があるという政府報告書が数年前に作成されていたことが分かった。事故の原因が歩行者のボトルネック現象によるもので、歩行者の過密現象が挙げられた点を考慮すると、過去の政府の対応がずさんだったことが分かる。

2017年1月、韓国の国土交通省が依頼した研究報告書によると、梨泰院路にある一部の地下鉄換気口を歩行領域に拡張する必要があるとの提案が含まれている。写真の赤い円は事故が発生した路地からノッサピョン(緑莎坪)駅方向へ50メートル進んだ距離に位置している。一番上から順にグーグルのストリートビュー(2018年4月)、ネイバーのストリートビュー(2022年7月)、カカオマップロードビュー(2022年8月)を比較すると、報告書作成から最近までこの歩道の拡張はなされなかったことが分かる。

国土交通部によると1日、建築都市空間研究所は2017年1月に「歩行権と美観を考慮した歩道施設の設置および管理改善方案研究」という報告書を国土交通省に提出した。国土交通省の指示を受けて進められたこの研究には、梨泰院地域の歩行権確保のための具体的な方案が盛り込まれた。当時、研究所は首相室傘下の国土研究院に設置された国策研究所だった。

報告書は、ソウル市内の歩道が狭い地域と実態を把握し、代案を提示する過程で、ソウル市ヨンサン(龍山)区梨泰院路とボグァンノ(普光路)一帯の歩道の拡張を検討していた。梨泰院路は地下鉄3号線のノッサピョン駅からハンガンジン(漢江鎮)駅まで続き、事故が発生したハミルトンホテルの横を貫通する。普光路はハンガン(漢江)北端の普光三叉路からハミルトンホテルまで縦に接続している。

検討の結果、梨泰院路と普光路の歩道は幅が基準値に著しく及ばばないか、かろうじて基準値を満たしているに過ぎないことが分かった。道路交通法上、道路構造規則は歩道の幅を最小で2mに、避けられない場合には1.5mにそれぞれ定めている。

しかし、ハミルトンホテルの正面を通る梨泰院路の歩道の幅は最大で3.8mから最小で1.8mだった。一番狭い場所では成人男性4人が通るにも狭いレベルだ。

報告書は「流動人口が多いのに比べて地下鉄の換気口などの大型施設が多く、後退部に関する規定がないため商店が歩道を商品陳列に使用・占有している」と指摘している。後退部とは建築法上、道路に面した敷地に建物を建てる際に最小限確保しなければならない空間をいう。梨泰院路ではこれが遵守されていなかった。

それと共に「歩道に設置された換気施設を歩行スペースとして拡張することができる。このように施設の領域を1.5メートルに減らせば歩行領域を2メートル以上に広げることができる」と改善案を提示していた。

ハミルトンホテルに接続する普光路はさらに狭い。歩道の幅は最大で1.2メートル、最小で0.5メートルに過ぎない。道路交通法で定められた最小歩道幅(1.5メートル)にすべて満たない。歩道幅0.5mは成人男性1人がやっと通れるレベルだ。

報告書は普光路の歩道について「観光客の往来が多い地域にもかかわらず通行路の幅の狭さは深刻で、電柱と街路樹が交互に通行空間を占有している」と指摘している。「後退部に関する規定がないため、商店が歩道を占有している」という点は梨泰院路と共通した指摘だ。

それと共に「歩道を拡張して施設の設置場所を集中させ、広い歩道幅を確保する必要がある」と提案している。この部分で報告書が「確保できる」という表現から一歩進んで「確保する必要がある」というより積極的な表現を使用していることが目につく。

しかし報告書の作成後、この歩道の拡張は遅々として進んでいない。現在まで「梨泰院路の歩道に設置された換気施設を歩道として拡張し、歩行空間を増やすことができる」という報告書の提案は実際には適用されていないままだ。
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