16日、韓国メディアの毎日経済新聞によると、韓国金融委員会が定例会議を先月末に開き、ノヴァ・スコシア銀行ソウル支店の閉鎖を承認したことが明らかになった。外資系銀行が韓国内の支店を閉鎖するためには、金融当局の承認を得なければならない。それで、同銀行は承認を同委員会に求めていた。ノヴァ・スコシア銀行はカナダ第3位の銀行で、1978年にソウル支店を開店して以来、企業金融を中心に営業活動をしてきた。
同銀行のソウル支店が閉鎖したのは、公式的には本社の世界事業戦略が変更になったからだ。同委員会の関係者は「ノヴァ・スコシア銀行が本社の方針で、アジア圏から手を引くことにした」とし、「主に北米や南米などに集中する計画」と明らかにした。実際に、同銀行はドバイと台湾から撤退し、中国でも支店の一部を閉鎖した。
しかし、ノヴァ・スコシア銀行の撤退が、「韓国の経営環境と金融当局の規制にある」との批判も相次いでいる。
ソウル大学のムン・ウシク教授は、「外資系銀行の立場では、韓国は高コスト構造の営業しにくい国だ。金融当局の規制も厳しい」とし、「金融環境を改善しなければ外資系銀行は来ないだろう」と批判した。韓国を離れる外資系銀行はこの十年間で、ノヴァ・スコシア銀行をはじめ7つの銀行が撤退している。
一方、政府による規制は金融界だけでなく、不動産や雇用市場にも影響を及ぼしている。
22日、イデイリー紙によると、政府が転売制限の規制を強化したことで、分譲権や入居権の取引市場が萎縮しているという。
2021年現在の水準で、分譲権や入居権の取引市場が最も活発だった2017年と比較すると、全国35%、地方53%、首都圏18%の水準で取引が減少した。首都圏では現在の傾向が続くと、今年の取引は2020年の半分にとどまるものと見られる。
22日、ファイナンシャルニュースによると、文政権は「雇用政府」を掲げてきたが、青年層の雇用は悪化する一方だ。安定的な賃金労働者は減り、非正規職が急増した。国会予算政策処が発行する「経済・産業動向&イシュー」最新号によると、2019年第3四半期末基準で若者層(15~29歳)の賃金労働者数は約371万人。2年前の同期間と比べ3万6000人が減少した。1週間あたり36時間以上の労働者に限定した場合、13万9000人減ることになる。半面、週労働時間36時間未満の労働者は10万3000人が増えた。文大統領も21日の「国民との対話」で、質の良い雇用創出については不十分という指摘が多かったはず」と、雇用政策の失敗を認めた。
コロナ禍が続き、雇用市場における公共の役割は過去に比べて明らかに大きくなっている。しかし、雇用の95%は民間企業が雇用の主体なため、雇用政策を民間企業での雇用なしに成功させることはできない。
23日の朝鮮日報によると、現政権に入り「企業=積弊(過去から残っている弊害)」という認識が強くなった。しかし、企業は常に未来の投資に積極的な姿勢を見せてきた。
韓国政府が7月に発表した「Kバッテリー発展戦略」にも、関連企業が後押しをする。この政策の核心は、2030年までに総額40兆6000億ウォン(約3兆9000億円)を投資し、韓国をグローバル二次電池市場のトップにするということだ。この政策に、LGエネルギーソリューションやサムスンSDI、SKイノベーションの二次電池3社、中小企業30社あまりが関わる。
また、最近、政府がグローバル自動車部品企業「プラスチックオムニアム」に、3500万ドル(約40億円)を投資し、韓国・キョンサンプクト(慶尚北道)キョンジュ(慶州)に、乗用車用の水素タンク生産施設を建設すると発表した。韓国政府は「政府の積極的な投資誘致活動が生んだ快挙だ」と紹介したが、この契約を締結した主体も実は現代自動車だった。
このように、企業が韓国経済を食べさせていると言っても過言ではない構造だ。しかし、企業が思う存分活動できるような経営環境ではなく、政府によるさまざまな規制で経営が容易ではない。
大統領直属の規制改革委員会によると、文政権が発足した、2017年5月10日から現在まで、国会において議員立法により発議された規制関連法案は約4000件に達する。パク・クネ(朴槿恵)政権で発議された、法案(1313件)の3倍にもなる。
全国経済人連合会が韓国経営学会の会員175人を対象に、アンケート調査を行った。21日に発表した結果では、経営学者の62.3%は、韓国の経営環境が先進国に遅れていると評価した。学者たちは国内経営環境が悪い最も大きな理由として「企業規制の負担」(39.4%)をあげた。次期政権が推進しなければならない最初の企業関連政策として、「企業規制の緩和」(34%)が上げられたのは当然の結果だ。
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