(画像提供:wowkorea)
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韓国の保健福祉部(日本の厚生労働省に相当)が4日に発表した統計によると、2019年の韓国の自殺者は前年比129人増の1万3799人だった。人口10万人当たりの自殺者数は26.9人で、前年比0.2%増だった。年代別では50代が2837人と最も多く、80代以上、70代、60代と続く。また、前年比増加率は20代が9.6%と年代別で最も高かった。

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韓国の自殺率が急増したのはアジア通貨危機の翌年の1998年から。2003年以降は2017年を除いて、人口10万人当たりの自殺者数が経済開発機構(OECD)加盟国中、最も多い状況が続いている。

他国と比べ、高齢者の自殺率が高く、これは韓国の社会保障整備が長らく未熟だったことが影響しているとされている。

韓国での公的年金制度の開始は1988年、国民皆年金制度が整備されたのは1999年。そのため、高齢者は掛け金を支払った期間が短く、年金受給資格のない人や、受給できても少額しか受け取れない高齢者も多く、困窮が自殺につながるケースも多いという。

若年層では、厳しい学歴社会、競争社会にあって、大学を卒業しても就職が難しく、生きづらさを感じた若者が極端な選択をするケースが後を絶たない。また、新型コロナウイルスの感染拡大は状況を更に悪化させている。

芸能人やスポーツ選手、政治家といった有名人の自殺も多く、2019年11月には女性アイドルグループ「KARA」の元メンバーで、日本でも多くのファンに愛されていたク・ハラさん(享年28)が自ら命を絶った。

今年に入ってからは、1月に女優のソン・ユジョンさん(享年26)、5月には、男性3人組グループ「M.C the MAX(エムシー・ザ・マックス)」のメンバー、J.Yoon(ジェイ・ユン)さん(享年39)が自殺した。

また、3月には、男性から女性への性転換手術を受け軍隊に復帰した後、強制的に除隊させられた元兵士のピョン・ヒスさん(享年23)が自宅で死亡しているのが見つかった。自殺とみられており、この訃報は韓国社会が依然、トランスジェンダーが生きづらい社会であることを浮き彫りにし、社会に重い課題を突き付けた。

また、アイドルグループ「f(x)」の元メンバーで、2019年10月に自殺したソルリさん(享年25)を死に追い詰めたのはネットでの悪質な書き込みが一因とされている。

ネット上での誹謗中傷を苦にした芸能人やスポーツ選手の自殺を受けて、韓国で最もユーザーが多いポータルサイト「NAVER(ネイバー)」は昨年3月、芸能記事のコメント欄を暫定的に閉鎖した。さらに8月からはスポーツニュースのコメント欄についても同様の措置を取った。

また、韓国メディアは自殺に関する報道に配慮する姿勢を見せている。メディア各社は「自殺」について、しばしば「極端な選択」という表現を用いる。これは、メディアで自殺という言葉を使うことで、自殺の衝動を引き起こしかねないという考えのもと、「自殺」との表現を使用しないよう求める「自殺報道勧告基準」によるものだ。

韓国で自殺予防法ができたのは2011年。ちなみに日本では2006年に既に「自殺対策基本法」が公布され法整備がされていた。

ムン・ジェイン(文在寅)政権は2022年までに自殺者を50%減らすとの目標を掲げている。18年には「自殺予防国家行動計画」を発表した。

自殺問題に関して、日韓での情報や取り組みの共有も行われている。韓国で養成が進む「自殺予防ゲートキーパー」は、日本の自殺予防のボランティア相談員を参考にしたものだという。

また昨年、日本と韓国で女性の自殺者が急増するという同様の傾向が見られたことを受け、8月、日本の厚生労働大臣指定法人で、自殺対策などを行う「いのち支える自殺対策推進センター」が、韓国保健福祉部が設置する「中央自殺予防センター」に声を掛け、実態などについて意見交換をするといったことも行われた。

史上最悪の日韓関係と言われているが、やはり韓国と日本は世界規模で考えると非常に似ている。歴史的には、古代の文化交流や大量移民、111年前の日本の半島統治による近代化もその原因であろうが、韓国の独立後の現代化の段階でも韓国は日本を見習ってきたから当たり前の結果だと思われる。

経緯は別にし、結果的に類似した環境で同じ悩みを抱えながら生きている日韓は、政治家が権力を欲しがって煽ってきた「反日感情」「反日教育」さえ無くなれば、頼りになる隣人同士であることは確かだ。
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