(画像提供:wowkorea)
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韓国の食品医薬品安全処は18日、中国産キムチの一部から食中毒菌が検出されたと発表した。韓国では今、3月から国内で拡散したある動画がきっかけで、中国産キムチへの不信感が高まっている。

その動画は中国のキムチ工場の様子を映したとされるもので、動画からは濁った水に漬けられた白菜がさびた重機で運ばれる様子や、塩蔵施設に入った裸の男が、白菜の山に埋もれて作業をする様子が確認できる。

動画が拡散するや、韓国人消費者の不安が一気に高まった。その後、食品医薬安全処は「該当の動画に出てくる白菜は、輸出用ではないことを中国の韓国大使館に確認した」としたが、騒動は依然、収まっていない。

動画が拡散して以降、韓国ではキムチチゲ専門店など飲食店では売り上げに大きな影響が出ている。国産のキムチを使用していることをアピールする「認証ステッカー」を店舗の出入り口に貼る飲食店も目立つようになった。

騒動を受け、食品医薬品安全処は、3月から今月7日まで約2か月にわたり輸入食品の検査を強化。その結果、輸入申告されていた中国産キムチ289製品のうち15製品から食中毒菌である「エルシニア・エンテロコリチカ」が検出されたという。この菌に感染すると下痢や腹痛などの症状が現れる。

また、中国産の塩漬け白菜4製品のうち2製品から、韓国では漬物への使用が認められていない保存料「デヒドロ酢酸」が検出されたという。

今回の検査結果を受け、韓国人消費者の不安がさらに高まるのは必至だ。

キムチをめぐる中韓をまたいだ騒動はこれだけではない。昨年から中韓ではキムチの起源をめぐる論争が続いている。

昨年11月、中国・四川省名産の塩漬け発酵野菜「泡菜(パオツァイ)」の製法が国際標準化機構(ISO)に国際標準として認められたことを受け、中国メディアの環球時報が「中国主導で泡菜の国際標準を制定、韓国メディア爆発、泡菜宗主国の恥辱」との見出しで報道した。

中国では「キムチ」は「泡菜」の一種であると考えられており、その考えを前提に中国メディアが「泡菜宗主国の恥辱」と見出しを打った記事を掲載したことから、キムチの本家を自認する韓国の怒りを買った。

怒りの矛先は、国産ブランドのキムチを販売する韓国内の大手企業にも飛び火した。CJ第一製糖、大象、プルムウォンといった食品メーカー各社が、中国で販売しているキムチに「泡菜」と表記していたことが明らかになり、批判を浴びた。

中国が定める国家基準により、中国国内ではキムチを「泡菜」と表記しなければ販売できないことからやむなく取っている措置というが、このことが明らかになるや韓国国民からは自国の食品メーカーに「不買運動をする」、「国の品格とプライドを捨てた」などと非難の声が上がった。

韓国で約774万トンの市場規模(2019年)があるキムチ。韓国の食堂では、おかずとして必ずと言っていいほど提供され、おかわりも自由だ。韓国人にとってなくてはならないキムチだが、多くを中国産に依存していることも事実だ。価格が安いのがその理由で、韓国産と中国産では価格差が5~7倍ほどある。当然、安い中国産キムチの輸入量は毎年増加しており、2019年は30万6015トンに上った。

韓国人消費者の中国産キムチに対する不信感は高まる一方、中国産は無視できない現実がある。キムチの本家を自認する韓国はこの受難をどう乗り越えて行くのか。

「ウリジナル(我らがオリジナル)」と揶揄されるほど、韓国人の「元祖」・「発祥」に対するこだわりは強い。その代表格のキムチが今回の話題となっているが、実は「赤いキムチ」の歴史は意外と短い。

キムチの主材料である唐辛子が半島に登場した時期には諸説がある。最も信ぴょう性の高いのは、16世紀から17世紀の間、日本から伝来したとのことだ。韓国の歴史教科書にも登場する百科事典「芝峰類説(1614年)」には「南蛮椒有大毒。始自倭国来。故俗謂倭芥子。(南蛮椒は大変なきつさが有る。始めは日本から来た。故に倭芥子と俗に言われる)」と書いてある。

その他、同じく韓国の歴史教科書に登場する「星湖僿説」などにも唐辛子が日本から伝来したことを明確に記述している。唐辛子の入らない白いキムチの歴史はもっと長いようだが、韓国を代表する赤いキムチが今の形になるまでは、南米原産の唐辛子を半島に伝えた日本の貢献もあった訳だ。歴史を重んじる良識のある韓国人ならば、すぐ分かる話だ。
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