“覆された”慰安婦賠償訴訟判決、日韓関係にどのような影響を与えるのか?=韓国報道(画像提供:wowkorea)
“覆された”慰安婦賠償訴訟判決、日韓関係にどのような影響を与えるのか?=韓国報道(画像提供:wowkorea)

 韓国国内の日本軍従軍慰安婦被害者たちが日本政府を相手取って起こした2つ目の損害賠償請求訴訟で敗訴した。初めての訴訟とは違ったこの結果に、もつれてしまった日韓関係にどのような影響を及ぼすか注目が集まっている。

 ソウル中央地方裁判所民事合議15部は21日、故キム・ボクドンさんなど慰安婦被害者と被害者の遺族20人が日本政府を相手取って提起した損害賠償訴訟を却下したと明らかにした。これは同裁判所民事合議34部が故ベ・チュンヒさんなど他の慰安婦被害者12人が日本政府を相手取って起こした損害賠償訴訟で勝訴判決を下したことと正反対の結果だ。

 初の訴訟を担当した裁判部は日本の反人道的犯罪行為、つまり慰安婦強制連行とそれによる被害には“国家免除(国家は他の国の裁判管轄権から免除されるという国際法上の原則)が適用されない”として日本政府の賠償責任を認めたが、今回の2つ目の訴訟を担当した裁判部は慰安婦問題についても“国家免除が適用されるべきだ”と判断した。

 実のところ、今年1月のソウル中央地裁の慰安婦関連訴訟の判決は当時、日韓関係改善を追求していた韓国政府としては困惑する結果だった。日本政府が該当の判決による賠償金(被害者1人当たり1億ウォン(約970万円))の支払いに応じず、被害者側が韓国内の日本政府財産に対する差し押えなど強制執行に乗り出した場合には両国関係はそれこそ破局につながるためだ。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領も今年の新年記者会見で該当の判決について「困惑したのが事実」だとし、現政権に入って事実上“破棄”された2015年の日韓慰安婦合意(正式名称:慰安婦問題日韓合意)が両国政府の“公式合意”だと話した。

 文大統領就任後、韓国政府は外交部のタスクフォース(TF)を通じて日韓慰安婦合意過程に対する再検討を行った。その結果、韓国政府は「被害者たちの意見が十分に反映されなかった」という理由で日韓慰安婦合意によって日本政府が拠出した出捐金 10億円で設立した慰安婦被害者支援財団(和解・治癒財団)を一切なかったものとした。

 これに日本政府は韓国側の日韓慰安婦合意の履行を求めて強く反発している状況だ。

 日本政府は今年1月、ソウル中央地裁から慰安婦被害者損害賠償判決が出た時もナム・グァンピョ駐日大使(当時)を呼んで抗議した。2015年の日韓慰安婦合意で日韓両国が“慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決”と確認したことになっていたからだ。

 このため、ソウル中央地裁の今回の2つ目の判決で「いずれにせよ、韓国政府は対日外交で多少の負担を減らすことができた」という指摘が出ている。

 日本政府はこれまで、ソウル中央地裁の慰安婦被害者損害賠償判決だけでなく、2018年以降に相次いだ日本の戦犯企業を対象とした植民地時代の強制徴用被害者損害賠償判決についても「1965年の日韓請求権協定違反であり、国際法違反だ」と主張し、反発してきた。

 特に、日本政府は徴用被害者損害賠償判決に対する報復として、2019年7月には韓国に対する輸出規制強化措置を取るなど、両国間の対立が広がってきた。

 日本政府は徴用被害者損害賠償判決などについて「韓国政府が責任を持って解決しなければならない」と主張し、韓国側の対話提案を事実上“拒否”してきた。

 国民大学のイ・ウォンドク教授は「慰安婦問題に関する今回のソウル中央地裁の判決で日韓関係が大きく変化することはないが、関係改善を狙っていた韓国政府には順方向で作用することが可能な側面がある」と説明した。

 しかし、一部では今回の判決がむしろ日本政府に韓国政府または韓国司法部を攻撃する口実だけを与えたという指摘も出ている。日本側の控訴がなく、判決内容がそのまま確定した今年1月の判決、そして日本の戦犯企業の韓国内の資産差し押さえや売却に必要な手続きが現在進められている徴用被害者損害賠償判決すら覆そうとしているということだ。

 NHKによると、外務省の関係者はこの日の判決について「内容をもう少し確実に検討すべきだが、結論から言えば妥当な判決であり、当然の結果だ」という反応を示した。

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