「華川ヤマメ祭り」会場の様子(華川郡提供)=(聯合ニュース)
「華川ヤマメ祭り」会場の様子(華川郡提供)=(聯合ニュース)
【華川聯合ニュース】韓国北部・江原道華川郡で5日に開幕した「華川ヤマメ祭り」が、今年も連日多くの来場者でにぎわっている。 華川郡によると17日には約2万1900人が会場を訪れ、開幕からの13日間の累計来場者数は前年同期比約10%増の115万人と推計された。 このペースで推移すれば、過去最多の来場者数を記録した昨年の173万人を大きく上回ると期待される。◇厳しい自然環境逆手に「山奥の奇跡」 華川郡の環境は決して恵まれているとはいえない。韓国で最も気温の低い地域としてニュースで取り上げられることも多く、人口わずか2万7000人で山と川が80%以上を占める山奥の町だ。市民より軍人が多い軍事都市でもあり、地域経済の大部分が軍人や面会客に依存している。 だが、祭りの時期になれば世界有数の祝祭都市に変身する。 停滞した地域経済を再生させようと2003年に祭りを初開催した時は、心配と期待が半々だった。 当時は冬祭りといえばワカサギ祭り程度だったため、無謀な挑戦との見方も少なくなかったが、さまざまな規制により開発から取り残された自然と渓流に吹く冷たい風を活用することにした。 「窮すれば通ず」との言葉通り、ヤマメを水温に慣れさせるための努力と住民らが持つ華川川を凍らせるためのノウハウが奇跡を起こした。 ◇「渓流の女王」釣り上げる楽しみ 03年に開催された第1回の来場者は20万人にとどまったが、06年からは毎年100万人を超える人波が押し寄せた。手つかずの自然とヤマメが宝に変わり、観光客が氷の上を2.1キロにわたり埋め尽くした。 23日間の祭り期間中、約180トンに上る養殖ヤマメが放流される。祭りの前にはヤマメの発がん性物質や寄生虫などの安全性調査が行われ、「適格」判定を受けた。 ヤマメは水が澄み、水中の酸素量が多い渓流に生息する冷水性淡水魚だ。マスに似た特有の模様が目を引くことから「渓流の女王」とも呼ばれる。 海水と淡水を行き来し多くが産卵期に海から川に遡上(そじょう)するが、一部の個体は淡水に適応して一生を過ごす。マスが60~70センチまで育つのとは異なり、ヤマメは20~30センチ程度だ。 ヤマメは北朝鮮では天然記念物に指定され、台湾でも保護対象となっているが、祭り会場に投入されるヤマメとは区分される。◇質的成長目指し滞在型の祭りへ 観光客が増えるにつれ、祭りも成長を重ねている。 会場内だけで楽しむ祭りではなく、地域経済を活性化させることに焦点を合わせた。 代表的な取り組みが、祭りに参加すると地域の商店での買い物や農産物が購入できる商品券だ。  第1回の祭りでは23億ウォン(約2億2400万円)だった直接的な経済波及効果は、1000億ウォン以上に膨れ上がった。 昨年流通した商品券は25万枚、祭り期間の住民の雇用は年間約2500人に上り、観光客が氷上に開けられた約2万個の穴に釣り糸を垂らす姿が世界のメディアで報じられた。 真冬の寒さに負けず半袖、半ズボン姿で氷水の中に飛び込むヤマメのつかみ取り体験も見逃せない。11年に世界七不思議として海外のテレビ番組で紹介されたことで知名度を高めた。 今年の祭りには現在までに10万人を超える外国人観光客が訪れた。祭りは27日まで続き、約60種類のプログラムが催される。 崔文洵(チェ・ムンスン)華川郡守(郡の首長)は「ヤマメ祭りが今後、量的成長だけでなく質的成長を成し遂げるよう、パッケージ観光商品の開発など滞在して楽しむグローバル祝祭にしたい」と述べた。
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