【ソウル聯合ニュース】北朝鮮メディアが最近、朴槿恵(パク・クンヘ)次期大統領の対北朝鮮政策に期待を示している。
 韓国国防部は21日発刊した2012年版の国防白書で、海上の南北軍事境界線と位置付けられる北方限界線(NLL)について初めて「実質的な海上境界線」と明記した。22日には2年ぶりに南北軍事境界線(MDL)に近い京畿道金浦市の愛妓峰にある塔「愛妓峰燈塔」でクリスマスツリー型の電飾が点灯された。これに対し北朝鮮は、「同族対決政策」と非難しながら、韓国の次期政権は李明博(イ・ミョンバク)政権の対北朝鮮政策を引き継いではならないと主張した。
 北朝鮮の内閣などの機関紙「民主朝鮮」は27日付の論評で、韓国の国防白書発刊について、李明博政権が任期末まで対決姿勢を見せているのは「次期政権にも北朝鮮侵略路線を歩ませるためだ」と主張。次期政権が南北関係改善を望むなら「李明博逆賊の二の舞になってはならない」と強調した。
 同紙は26日付の紙面でも、「愛妓峰燈塔」の電飾点灯について国防部を非難した上で、「愛妓峰周辺住民の抗議糾弾にもかかわらず、反共和国心理戦を強行している」と非難した。朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」新聞も25日付の紙面で愛妓峰の電飾に触れ、次期政権発足を前に南北関係を「武力衝突という極限に追い込み、反共和国対決政策を維持しようとしている」と主張した。
 北朝鮮メディアのこうした態度は南北関係が行き詰まっている責任の全てを李明博政権に押し付け、次期政権にはこれまでとは違った対北朝鮮政策を取るよう期待しているものと捉えられる。
 北朝鮮は大統領選が終了してから朴次期大統領に対する非難を中止し、与党・セヌリ党に対する非難もほとんど行っていない。
 北朝鮮メディアが韓国大統領選の結果を翌日に報道したことからも、朴次期大統領に対する期待がうかがえる。5年前の李明博(イ・ミョンバク)現大統領の当選時には、翌年2月に大統領就任式が行われるまで、新政権発足に反応を示さなかった。
 高麗大学の柳浩烈(ユ・ホヨル)教授は、北朝鮮が朴次期大統領に期待を示し、「李明博政権とは差別化した対北朝鮮政策や立場を示すよう圧力をかけていると受け取れる」と分析。「韓国の動きを見極めながら、慎重に希望を伝えようとしているようだ」と話した。

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