【ソウル聯合ニュース】北朝鮮では資本主義下で生まれたクレジットカードや電子商取引などをタブー視してきた。クレジットカードなどは労働者からの搾取を目的に開発されたという理屈だ。
 世界的にITなどが急速に発展し、北朝鮮もクレジットカードなどによる電子商取引を許可したが、外国人など特定階層に限られていた。
 しかし、昨年10月の金日成総合大学学報に掲載された論文「網銀行の合理的な組織におけるいくつかの問題」は事実上、ネットバンキングを含む銀行の電算システム構築の必要性を強調している。造語とみられる「網銀行」は「電子銀行」という。
 論文は網銀行の特徴について、「国の金融秩序を強化し、機関、企業所と取引者間の利益を最大限保障できる」と説明した。銀行のコスト削減、業務発展の促進、安全と認証技術の進歩などをメリットとして挙げた。
 とりわけ、網銀行の発展戦略に関し、情報技術の水準とサービスを高め、保有資金を拡大するための総合戦略と、取引者へのサービス強化で取引者数を増やし、資金の回転を改善するための戦略などを提示した。資本主義の金融システムを連想させる。
 論文は網銀行を通じたクレジットカードや金融貸付業の重要性も取り上げている。
 国内外の報道によると、北朝鮮の平壌では1995年末時点で36か所のカード加盟店が運営され、2003年は電子商取引のウェブサイトも開設された。
 北朝鮮で電子金融取引が普及しなかった理由に対し、専門家らは技術的な面より国家体制を指摘する。電子商取引は需要が高まると活性化されるが、私有資産を認めず、改革・開放を拒んでいる北朝鮮のシステムでは需要がなく、電子金融取引も発展しなかったという。
 韓国・IBK企業銀行経済研究所のチョ・ボンヒョン研究員は「北朝鮮は経済特区などを推進しながら、金融改革を重視してきた。金融システムを改善すると、貨幣の流通量を調整し、物価高騰を抑えられるため、新たなシステムを受け入れる可能性が大きい」との見通しを示した。

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