(画像提供:wowkorea)
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日本の菅政権が軌道に乗り出し、米国の民主党バイデン政権発足の可能性が高まりつつある昨今。韓国ではムン・ジェイン(文在寅)大統領を始め、”韓国のCIA”国家情報院のパク・ジウォン(朴智元)院長、韓日議員連盟会長のキム・ジンピョ(金振杓)議員、与党「共に民主党」代表イ・ナギョン(李洛淵)議員ら政権と与党の有力者が、日本側に関係改善の意向を示し出している。

 その背景にはバイデン氏を始めとした東アジア政策に影響力を持つ民主党系の有力者らが、北朝鮮の核問題や、中国の人権問題等を始めとする諸問題において、多国間による解決と韓米日三角同盟を重視しており、これに歩調を合わせる必要性が強まったからだという国際政治学のリアル・ポリティクス的な見解がしばしば報道されている。

 確かに「華夷秩序」的な外交文化・外交感覚を持つ韓国において、盟主たる米国の「空気」とその変化・動向に細心の注意を払い、所謂「忖度」して動く事を通して陣営内での「位相(地位や順位や序列)」を向上させようとする動きとも見て取れる。

 しかし、同時に以前の解説でも指摘したが、「政権交代=革命」観によって内外の政権交代を見てしまう韓国の政権交代観の影響も指摘したい。韓国にとって好ましくない対韓政策、例えばインド太平洋戦略を始めとした対中包囲網形成、対北朝鮮強硬政策、通商上の制裁等を執った安倍・トランプ旧政権が「天命・天意=民意」を失ったとの解釈だ。

 つまり、政権交代である以上、新政権は旧政権の政策を放棄して親韓国的な対韓政策へと転換(革命)してくれる筈だという「政権交代=革命」観だ。故に好意的な姿勢をまず示す事で、日本が親韓国的な対韓政策へと躊躇せずに転換・革命出来るように誘導したいのだろう。

 ここでもう一つ指摘したいのが、以前紹介した「礼部・礼曹」型外交である。少なくとも日本は政権交代の結果、安倍旧政権の対韓政策の旧弊を革命・転換しなければならないと看做している。また同時に無視出来ないのが「礼部・礼曹」型外交、つまり対日徳化・対日教化である。

 昨年の朝鮮人労働者への賠償を日本企業に命じて在韓資産を差し押さえた最高裁判決の後、日本は”建前”として、韓国の半導体産業に欠かせない品目につき、「輸出管理・輸出規制」を強化した。もちろん「公然の秘密」や「建前・本音」の文化が存在しない韓国はこれを「制裁」と受け止めている。

 その翌日、文在寅大統領は閣議で「(制裁ではなく、輸出規制だと嘘をつく)日本は正直であるべきだ」と対日本の非難を開始したが、「正直であるべき」といった外交上の表現に馴染まない、まさに道徳的・倫理的な非難の表現を用いたことに注目したい。

 なおこれは文大統領に限った事ではない。時を遡ると1995年、故キム・ヨンサム(金泳三)元大統領が江沢民元総書記との会談で日本の歴史観・歴史教育(故江藤隆美元総務長官の発言)を非難した際に用いた表現も「日本の悪い癖を叩き直してやる」と上位者が下位者に叱る際に用いられる表現を使っていた。

 また別の際には「日本をしつけ直す」と言ったこれもまた、外交上の表現に馴染まない、まさに「道徳的・倫理的な非難」の表現を用いていた。この言葉が1997年の韓国の通貨危機(IMF体制)を招いたとの説も根強い。

 今までの対日非難の表現を見てみると、韓国から見た正義や正統の基準に従って、対日矯正を通した対日徳化・教化が前提となっているのが、韓国の対日外交にはしばしば見られるのだ。逆に対日徳化・教化の失敗は、現代の天子たる大統領や、その重臣たる政権・与党の関係者の「失徳」、つまり「天命・天意=民意」を失ったと看做されるのだ。

 故に対日矯正を通した対日徳化・教化が前提となっているが故に、外交上の表現に馴染まない(明確な上下関係を前提とした)道徳的・倫理的な表現での非難であり、関係改善のメッセージなのだ。特に「政権交代=革命」した菅政権の対韓政策や姿勢はまだ白紙状態であると看做している。

 つまり性善ゆえに悪の方向へと日本が陥らないように、大統領や政権・与党の関係者は、韓国から見た正義や正統の基準に従って(韓国にとって好ましい方向へと)教導・誘導して、日本を徳化・教化しなければならないと確信しているのだ。そしてその成否が大統領や政権・与党の「徳」「天命・天意=民意」を左右するとの無意識的な感覚や信念が、対日姿勢を左右しているのだ。

 この事はかつて、故ノ・ムヒョン(盧武鉉)元大統領が小泉政権に対して初期には好意的な態度を示し、特に対北政策等を評価して好意的な対応を示したのを想起した。つまり盧政権の対日教導・徳化・教化が同じ進歩系がやってきた「太陽政策」を始めとした対北政策への同調を生み、「徳」「天命・天意=民意」に適った東アジアの秩序形成に貢献出来たと看做したのだ。

 ところが後に小泉政権による靖国神社参拝や対米追従的な対北政策等を見て、対日教導・徳化・教化の失敗と映った結果、これを挽回すべく、外交上の表現に馴染まない(明確な上下関係を前提とした)道徳的・倫理的な表現での非難を用いる程、一気に(小泉政権批判と新政権への期待へと)方向転換していた事だ。

 こうした韓国の「正義や正統」の基準を「教化・徳化」の姿勢を隠さず日本に強要していく「礼部・礼曹」型外交の根は深く、無意識に韓国の外交姿勢や選択を左右しているのだ。韓国を呪縛している「礼部・礼曹」型の外交観、韓国の解放はまだ遠いかもしれない。
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