「チャンネルJ」の厳弘植代表=(聯合ニュース)
「チャンネルJ」の厳弘植代表=(聯合ニュース)
韓国で日本大衆文化が開放されてから13年。だが、いまだ地上波で日本のテレビ番組は放送できず、ケーブルや衛星放送もバラエティーなどの放映は禁じられている。そんな中、2006年に開局した韓国唯一の日本専門チャンネル「チャンネルJ」の厳弘植(オム・ホンシク)代表は「ドラマだけでなく、日本のすべてを韓国に紹介し、最終的には両国の窓口の役割を果たすのが目標」だと意気込む。目標へ突き進む気持ちは成果となり、着実に加入者を増やしている。

 開局当時は韓日両国から冷ややかな反応しか聞こえてこなかった。厳氏自身も「1~2年間やってみて、駄目だったら諦める」覚悟だった。無謀な挑戦から5年。ようやく成長期に入った。韓国のテレビ視聴世帯数は約1500万。そのうち、ケーブルを含めた有料チャンネルの加入世帯は約1000万だ。
 日本専門チャンネルを立ち上げた理由を聞くと、「放送に限らず、文化全体を盛り込めると考えた」と話す。今は「なくてはならないチャンネル」という認識が視聴者に定着したとみている。

 開局当初、視聴者は高学歴・高所得層やマニアが中心だったが、その輪は徐々に広がっている。最近は、観光やグルメなどのドキュメンタリーが人気を集めている。

 厳氏はNHKの大河ドラマへの関心が特に高い。現在は「龍馬伝」を放映している。日本を知るためには歴史を知らなければならないが持論だ。
 厳氏はチャンネルの中心を担う日本のドラマについて、「ディテールとリアリティーが強み」だと賞賛した。放映ドラマを選ぶ基準は韓国の視聴者が受け入れやすい作品性や日本人の考え方、文化が分かるようなものだ。
 逆に、日本で韓国のドラマが絶大な人気を誇っていることに対しては、「時代に合致した影響が大きいと思う。条件さえ合えば、『日流ブーム』はいつでも可能」との考えを示した。

  ◇好きだからこそ注文も
 自身も日本音楽やアニメーションに熱狂した「日本文化キッズ」世代だ。岩井俊二監督や宮崎駿監督のファンという。文化交流は徐々に進んでいるが、依然として消えない両国間の感情の溝は足かせとなっている。政府の規制も残っている。厳氏は「文化に対する規制は時代錯誤的な発想だ。むしろ闇市場を拡大させる結果をもたらすだろう」と力を込める。

 前に進まない日本社会の現状にも一石を投じたい。日本のテレビ番組の輸入には非常に複雑な著作権問題が絡み、輸入したくてもできない場合も頻繁にあるという。韓国ではテレビ局が番組の著作権を一括して管理し、多数の番組を素早く輸出できる。日本の著作権に対する考え方が徹底しているのは評価できるものの、自国の文化普及を妨げている現実を直視しなければならないと指摘した。日本文化を愛し、両国の距離を縮めたいという思いが強いからこそ注文も厳しい。(聞き手=金泰均)

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