【ソウル聯合ニュース】北朝鮮離脱住民(脱北者)救出活動を展開している韓国のキリスト教団体「カレブ宣教会」は20日までに、北朝鮮内部の犯罪状況や処罰指針などが盛り込まれた文書を一部公開した。同書は警察庁にあたる北朝鮮の人民保安省(現在の人民保安部)が発刊したものとみられる。
 文書は刑法と民法、刑事訴訟法などと関連した721件の事件を例に挙げ、犯罪者の処罰について説明している。721件のうち、食糧難による犯罪が最も多かった。文書の前書きには「本書は初めて出版されたもので、人民保安事業の過程で実在した事件、事情や起こり得る情況に基づいている」と書かれている。
 文書には脱北者の証言で伝えられた各種の事件・事故に関する具体的な事例も取り上げられている。
 人民保安省関係者が市場販売が禁止された品物を押収したところ、住民20人余りが当局に押しかけ、机を椅子を壊すなどの騒ぎを起こした事例が紹介されている。当局の統制に住民が露骨に不満を表す姿が見られる。当局の取り締まりで生活が苦しくなった市場の商人が取締官に酒を浴びせたとの内容もあった。
 また、1000ウォン札100枚を偽造し、暗い時に市場で物品を買うなどの方法で流通させた事件、住民2人が4年間にわたり最高額札の5000ウォン札2400枚とガソリン交換券490枚などを偽造し、大都市と軍に流通した事件なども盛り込まれた。
 麻薬問題も深刻になっているようだ。薬学系大学の教員が麻薬の原料を購入し、自宅で「アイス」と呼ばれる覚せい剤500グラムを製造・販売した事件、8000ドル(約64万円)で買い取った麻薬1キログラムを国境地帯で1万2000ドルで販売し、大儲けしたケースもあった。
 韓国をはじめとする海外の文化が密かに広まっていることを裏付ける事例も多数ある。自宅にCDをコピーできる設備を設け、華僑らから外国で制作されたCDを購入、コピーして販売した住民が摘発されていた。
 一方、労働災害で体が不自由になり、警備員として働いていた男性は飢えに耐え切れず、同僚をおので殺害した後、遺体の一部を食べ、一部は市場で「羊肉」として販売していたところを摘発された。
 トラックに無賃乗車した高齢者が雨を避けようと車両に積まれていたひつぎに入り、雨がやんだかどうかを確認するために出した手を見て驚いた少年2人が車外に飛び降り、1人が死亡した事故もあった。
 精神病に人の脳が良いとのうわさを耳にし、入手に成功したものの、人のものではなく、犬のものだったという笑えない事件も紹介されている。
 アパートを改築しようと、4階に砂とセメント3トンを積んでおいたところ、アパートが崩壊し、13人が死亡した事故もあった。
 体の不自由な3人の子どもを産んだ女性が4人目の子どもも障害あることを知り、飢死させたという事件もあったが、文書では「不純な目的のない乳児殺人は社会的な危険性がないため、刑事処罰の対象ではない」と解釈した。

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