【東京3日聯合ニュース】日本の靖国神社の戦史博物館「遊就館」に韓国の朝鮮時代の将軍が使用した甲冑(かっちゅう)が保管されていることが分かった。韓国内には甲冑、弓、盾など朝鮮時代の軍事文化財がほとんど残されておらず、その希少性は高い。日帝時代、朝鮮の民衆が義兵運動に利用する恐れがあるとの理由で大々的に回収・破棄されたためだ。
 これまでに、この甲冑を直接見たという韓国人もほとんどいない。国防部・軍事編纂(へんさん)研究所の金炳崙(キム・ビョンリュン)客員研究員によると、陸軍博物館長を歴任した故李康七(イ・ガンチル)氏が唯一だ。同氏は1968年3月に靖国神社を訪れ、写真を受け取っているが、当時の写真はモノクロ。ただ存在だけが知られていた甲冑の形から色までが、今回、鮮明に公開された。

 甲冑が作られたのは、18~19世紀と推定される。よろいは脇の部分が開いているが、専門家によると、もともとは脇もつながっていたものを活動しやすくするよう、朝鮮後期からこのように仕立てるようになったという。

 着用していた人物については、専門家の意見が分かれている。朝鮮半島から日本に渡った文化財を追跡している慧門(ヘムン)和尚は、かぶとの額部分に「元帥」という文字が刻まれていること、頭上に金色の竜と鳳凰をかたどった彫刻が取り付けられていることを根拠に、朝鮮時代の軍の最高統帥権者が着用した甲冑だとの見方を示した。

 韓国でも、陸軍士官学校の陸軍博物館が関連遺物を所蔵しているが、保存状態がさほどよくない。慧門和尚は、靖国神社にあるものは保存状態や製造年代などを考慮すればたぐいのない貴重な文化財だと話した。

 一方、金研究員の意見はやや異なる。朝鮮後期からは統制が緩み、軍の最高統帥権者ではなくても、こうした作りの甲冑を身につけるケースがあったとの主張だ。韓国内だけでも、陸軍博物館のほか高麗大学、東亜大学、国立慶州博物館などに、同じような仕立てのものが保管されているという。ただ、靖国神社にあるもののように、保存状態が良いものが韓国にほとんどないのは事実だとした。

 甲冑の価値より重要なことは、靖国神社がこれまで公開したことのない朝鮮時代の軍事文化財を展示したという点だ。

 韓国の文化財専門家らは、1875年の雲揚号事件(日本の軍艦雲揚号による江華島攻撃)当時、日本が朝鮮から略奪した軍事遺物が、遊就館に保管されていると推測してきた。

 日帝時代の書籍に記録された遊就館展示物の写真を分析し、同博物館には、韓国陸軍博物館の所蔵品に迫る量と質の朝鮮時代の兵器が保管されていると主張する専門家もいる。

 今回の遊就館の特別展示を機に、今後の朝鮮時代の軍事文化財公開に期待がかかる。陸軍博物館はまず、特別展(8日まで)期間内に展示品を写真に記録する許可を求める計画だ。

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