【ソウル4日聯合ニュース】3月末に発生した北朝鮮の魚雷攻撃による韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事件の影響で、南北関係を担当する統一部の各種事業に支障が生じている。
 ことしに入ってからも南北関係の行き詰まりが続き、5月24日には韓国政府が哨戒艦沈没事件の対応措置として北朝鮮との貿易と交流の中断を発表したが、これとは直接関係のない事業にまで影響が出ている。
 まず、統一部が北朝鮮・開城工業団地に入居する韓国企業のうち、技術力と生産力を保有しながらも独自のブランドがなく、成長とマーケティングに限界がある企業を支援するため進めてきた共同ブランド「ピースワークス(PEACEWORKS)」の施行が遅れている。
 同部は2月に同ブランドの商標登録を完了した。入居企業からブランド使用の申請を受け付け、7月までに同ブランドを使用する企業を最終決定する計画だった。しかし、哨戒艦沈没事件などで開城工業団地に対する不安が強まり、事業は計画通りに進んでいない。同部関係者は「南北関係の悪化で、申請企業があまりにも少ないのが悩み」と話している。申請を済ませた企業が共同ブランドを活用できるようにするか、それとも申請企業をさらに募集するか、結論を出さなければならないという。
 今年度の政策広報で重点を置いた李明博(イ・ミョンバク)大統領の「朝鮮半島新平和構想」の広報も滞っている。
 同構想は李大統領が昨年の光復節(日本の植民地支配からの解放記念日)に行った演説で明らかにしたもので、北朝鮮が核放棄を決心する場合、画期的な経済協力に乗り出し、通常兵器の軍縮も議論することが柱となっている。
 同構想の広報に約8億ウォン(約5849万円)の予算が組まれ、ことし上半期から地上波などで広報映像を流す計画だったが、いまだに実現できていない。南北の緊張が高まり、対北朝鮮制裁措置を取った状況で平和を強調するのは政策基調と合わず、また北朝鮮に対する否定的な世論も少なくないためとみられる。
 このほか、政府の対北朝鮮政策基調を盛り込んだ「南北関係発展に関する基本計画」修正案の確定時期も不透明だ。
 政府は2月、北朝鮮が核放棄を決心した際の経済協力拡大推進や南北の軍事的緊張緩和の実現などを骨子とした基本計画を審議したが、哨戒艦沈没事件など状況の変化を理由に国会報告などの手続きを先送りしている。
 政府は、2007年11月に打ち出された基本計画が現政権の対北朝鮮基調と合わないと判断、修正作業を行ってきた。しかし、同部関係者は「外部の専門家から意見を聴取し、基本計画を補完する作業を続けているが、いつ確定できるかは分からない」と話している。
 このため、現在の局面がある程度解消されなければ、統一部の各種事業が軌道に乗るのは難しいと予想される。ただ、一部からは同部が対北朝鮮制裁措置と関連性の少ない事業にまで消極的だとの指摘も出ている。



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