【ワシントン15日聯合ニュース】1961年に韓国で発生した5.16クーデター(陸軍将校らによる軍事クーデター、政権を奪取後に朴正熙(パク・チョンヒ)少将が国家再建最高会議議長に就任)に対し、北朝鮮は当時、その主導勢力とクーデターの本質を把握するため、北朝鮮にある中国大使館と接触するなどあわただしく動いていたことが、中国の外交文書から明らかになった。この文書は、米シンクタンクのウッドロー・ウィルソンセンターと韓国の北韓大学院大学が収集したもので、15日に明らかにされた。
 それによると、当時首相だった北朝鮮の金日成(キム・イルソン)主席は、金一(キム・イル)副首相に駐北朝鮮中国大使館と接触するよう指示。金副首相はクーデター当日夕方に大使館で中国側関係者と会い、クーデターに関する情報を交換した。金副首相は事態を完全に把握できなかったのか、「南韓(韓国)のクーデターに対しどのような措置を取るべきか検討中。クーデター支持声明の発表を準備している」と言及したと、当時の駐北朝鮮中国大使が本国政府にあてた報告書に記している。北朝鮮側が支持声明を検討した理由は、韓国で軍事クーデターが発生すれば進歩勢力が主導するという従来の政治情勢判断によるものとみられる。ただ、金副首相は中国が重要な情報を確保した場合は知らせるよう要請したともされ、クーデターの性格について確実な判断を下せていなかったことをうかがわせる。
 外交文書によると、これに関し中国は「クーデター発生初期に革命委員会が発表した政治プログラムから判断すると、相当数が良くない内容で、われわれは当初、米国がそそのかしたクーデターという可能性に重きを置いていたが、国連司令官と駐韓米国大使代理が張勉(チャン・ミョン)政権(当時の韓国政権)支持を掲げるのを見て、韓国軍部の進歩勢力によるクーデターの可能性が高いと判断した」と述べている。こうした判断を根拠に、▼陸軍本部の指示によるものではなかった▼クーデター加担者のうち一部が進歩性向だった▼朴正熙少将(当時)が一時は南朝鮮労働党員で、兄が「革命活動」で殺害されている▼過去に韓国軍部内の進歩勢力がクーデターを起こす可能性があるという情報があった――の4点を挙げた。これらを理由に、米国が背後にいない確率が90%と判断したという。その一方で、「現時点でクーデターの正確な性格を判断するのは非常に難しい」としていた。

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