【ソウル2日聯合ニュース】非正規職法の改正案がデッドラインの6月30日までにまとまらず国会でも議論も進んでいないことから、最大100万人の非正規雇用の労働者が雇用不安に脅かされるという懸念だけでなく、多大な社会的コストが発生しかねないとの見方が広がっている。

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 シンクタンクなどが2日に明らかにしたところによると、改正案がまとまらないために、契約期間が2年を過ぎたり間もなく2年になるという非正規雇用労働者が解雇の危機に立たされている。非正規労働者の解雇が直ちに雇用数減少につながるわけではないが、失業者が増え社会的な葛藤(かっとう)が深まれば、財政負担と社会的コストも拡大すると専門家らは診断する。
 正規職転換か解雇かの分かれ道に立つ非正規労働者の数をめぐっては、政府・与党と労働界・野党で主張に開きがある。

 最近では、非正規労働者が占めていた雇用そのものが一部消えてしまうという現象を懸念する声も出始めている。雇用市場全体を見ると、契約を打ち切ってもほかの非正規労働者で代替するならば雇用数自体に変化がないが、企業が非正規職法適用に合わせて人員減らしに踏み切れば、雇用市場の規模が縮小する結果をもたらすというもの。サムスン経済研究所のキム・テジョン首席研究員は「これまでは非正規職労働者の拡大が問題だったが、これからは非正規労働者の縮小が問題として台頭するだろう」と述べ、一時的な契約職のうち2割以上が消えかねないとの見通しを示した。

 現在の経済状況では、会社としても非正規雇用の差別禁止条項に基づくコスト負担を甘んじて受け止め、新規の非正規労働者雇用には簡単には乗り出さない可能性がある。韓国労働研究院のナム・ジェリャン研究委員は、非正規労働者が担っていた仕事を、代わりに機械でしたり社員で分け合うなどの対応を取ることもありえると話す。

 一方、これに反する意見も少なくない。非正規労働者が仕事を移ることで発生する「摩擦的」な失業はあるが、全体の雇用規模には大きな変化はないとする論理だ。企画財政部の李相サンウォン(イ・サンウォン)人力政策課長は「経済状況が特に悪化するのでなければ、非正規労働者を解雇した後に別の非正規労働者を採用する可能性が大きい」とし、雇用の総数は減らないだろうと予想した。

 韓国開発研究院のキム・ヨンソン研究委員は、差別禁止条項は現場で適用しにくい面が多く、非正規雇用職の減少に及ぼす影響は少ないとみている。現代経済研究院の兪炳圭(ユ・ビョンギュ)経済研究本部長も、下半期に非正規労働者が大量解雇される「失業大乱」が起こるとは簡単には予断できないと述べた。
 専門家や政府関係者は、非正規職法問題が解決されず、大量解雇が発生し雇用が減少する場合、財政負担や社会的コストが大きく拡大するものと懸念している。失業者が増えれば政府は失業対策を講じる必要がある上、失業による社会的な葛藤への対処にも相当なコストを要するからだ。

 LG経済研究院の呉文碩(オ・ムンソク)経済研究室長は、非正規労働者が失業者になれば、社会の二極化が深刻化するなど社会へのさまざまな影響は避けられず、政府も失業対策を講じることで財政負担が増す可能性があると述べた。このほか、国としてみても雇用の質が低下し、経済が所得悪化や内需低迷、雇用悪化の悪循環に陥るとの指摘もある。
 非正規雇用問題の解決策については、その場しのぎの対策から根本的な解決策までさまざまな意見が出ており、今後もその行方が注目される。

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