【ソウル11日聯合ニュース】憲法改正論が政界に広がりつつある。盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の逝去後、いわゆる「帝王的大統領制」の弊害を懸念する声が力を帯び、大統領任期を再任なしの5年とすることを骨子とした現行憲法の統治構図と基本権を含む各条項に対し、「時代に合わせた全般的改正」の必要性が提起されている。
 特に、現行大統領制の下、大統領の過度な権力集中、政権中盤以降のレームダック、前政権に対する過酷な審判などが繰り返されたことで、韓国社会の対立を誘発する権力独占の弊害に対する懸念が高まっている。
 憲法改正論者らは、改正作業を来年6月の統一地方選挙以前に完了できなければ、結局これまでと同じ選挙政局を繰り返し、憲法改正論も「竜頭蛇尾」になる可能性が高いとの立場だ。憲法改正論議の本格化が急がれると主張している。しかし、早期改正論には政界の負担がある上、与野党や大統領候補群の算法が交錯しており、改正論者らの構想通り政界で憲法改正公論化が弾みをつけるかどうかは不透明だとの見方もある。
 憲法改正論の口火は、金炯オ(キム・ヒョンオ)国会議長が切った。金議長は11日、来月の制憲節(憲法記念日)後から憲法改正問題を本格的に提起する考えを示した。権力分離のなかで責任も明確にされるべきと述べるなど、「権力分散」が権力構造改編の中核となってこそ望ましいとの立場を示唆した。
 また、国会「未来韓国憲法研究会」共同代表の李柱栄(イ・ジュヨン)ハンナラ党議員は、ラジオ番組で「今の憲法は20年前のもので時代にそぐわない内容がある。国の未来のため整備する必要がある」と述べている。また、再任可能4年の大統領任期に、権力を議会・首相を首班とする内閣と地方に分ける「分権型大統領制」の導入が無難ではという意見が政界には多いと紹介した。
 憲法改正論は現在、国会議長室と与野党議員186人が参加する未来韓国憲法研究会が主導している。9月の通常国会で憲法改正特別委員会を構成し、来年の統一地方選挙以前に憲法改正を終えるというおおむねの構想を立てている。国会議長諮問機関の憲法諮問研究委員会は、分科別討論会や海外視察を行い、憲法改正案の策定に総力を上げており、来月17日の制憲節以前に案をまとめ、憲法改正特別委に上程するという。
 各事案ごとに対立している与党ハンナラ党と最大野党・民主党も、憲法改正問題に関しては共感を示している。
 ハンナラ党の安商守(アン・サンス)院内代表は9日、「帝王的大統領制の下では、大統領になればすべてを手に入れ負ければ失う『オール・オア・ナッシング』ゲームだ」と指摘し、ゲームに負けても次のチャンスがあり権力も分けられるという「分権型大統領制」に向かうべきだとの考えを示した。また、「大統領と首相の権限を分散し、大統領は直接選挙で選び、首相は国会で選出して国政運営をすれば、ここまでし烈な政治争いが起きるだろうかという気がする」とも述べている。その上で、経済危機克服後に、憲法改正論が本格化することを望むとした。
 これに関連し、民主党の李康来(イ・ガンレ)院内代表は「李明博(イ・ミョンバク)大統領の任期中に経済危機を克服するのは無理」と見通し、来月の制憲節を機に論議を始めるのが望ましいとの考えを示した。
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