金価格の上昇とマクロ経済の不確実性を背景に、暗号資産投資家の間でオンチェーン上で金へのエクスポージャーを確保する動きが急速に広がっている。

16日(現地時間)、The Blockは金連動ステーブルコインの総時価総額が40億ドルに迫ったと報じた。これは2025年初頭の約13億ドルから、ほぼ3倍に増加した水準で、現物金価格の上昇とともに、トークン化された貴金属資産への関心が大きく高まっていることを示している。

2025年に入って以降、金価格は年初来で約66%上昇した。マクロ経済の不透明感や地政学的リスクの高まり、根強い安全資産需要が重なったことが、金相場の強気基調を支えているとみられる。こうした環境は、実物の金だけでなく、ブロックチェーンを基盤とする金連動商品の採用拡大にも追い風となった。

市場では、テザーゴールド(Tether Gold、XAUt)が約22億ドルの時価総額で首位を占め、金連動ステーブルコイン市場全体のおよそ50%を占有している。これに、パクソス・ゴールド(Paxos Gold、PAXG)が約15億ドル規模で続く。両プロトコルを合わせると、市場全体の約90%を占めており、XAUtは2025年に入って供給を拡大し、最近ではPAXGを上回った。

金連動ステーブルコインの拡大は、暗号資産投資家がオンチェーン環境を維持したまま、伝統的な安全資産への投資比率を高めていることを示唆している。これらのトークンは、保管庫で管理される実物金を裏付けとしており、金塊の分割所有を可能にする点が特徴だ。

また、テザーはこの分野で有力な機関投資家として存在感を強めている。同社は今年第3四半期だけで26トンの金を追加購入しており、この規模は同期間における多くの中央銀行の単独購入量を上回る。9月末時点でのテザーの金保有量は約116トンに達し、国際通貨基金(IMF)のデータによれば、ギリシャやカタール、オーストラリアを上回る、世界でも上位30の金保有主体に相当するという。
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