ソウル交通公社は旅客運送約款の改正に着手した。今回の約款の改正は、第34条(携帯禁止品)にリチウムバッテリーで駆動する一切の移動手段と160ワットアワーを超える大容量リチウムバッテリーを追加するのが主な内容だ。携帯電話のモバイルバッテリーのような中小型のリチウムバッテリーの持ち込み規定も強化するという。特に、航空機への携帯電話のモバイルバッテリーの持ち込み基準を地下鉄にも適用する方向で約款の改正を検討していることが確認された。ただし、障害者などの移動手段は禁止対象から除外する。
このような強力な規制は、列車内外の火災が繰り返されていることを受けてのものだ。9月にソウル地下鉄2号線のハプチョン(合井)駅で乗客が所持していた電気自転車のバッテリーから火災が発生し、市民約100人が待避した。これに先立ち、3月と8月にもそれぞれ補助バッテリーから煙が発生し、乗客が避難する事故が発生した。昨年8月にはプサン(釜山)で乗客が持ち込んだ電動キックボードから煙が出る事故が発生した。
国土交通部はことし、地下鉄駅構内でバッテリー火災が頻繁に発生したことを受けて、9月に鉄道運営会社に鉄道内の火災に備えてパーソナル移動装置を含む補助バッテリーの搬入を制限することを勧告した。国土交通部はこれに関する公文書で「鉄道内でバッテリー火災が発生した際、消火器などでの初期消火が困難で人命・財産上の大きな被害が出ることが懸念される」として「危険度を分析して旅客運送約款の改正と鉄道利用客への案内などを通じてバッテリーの搬入を最小化するよう措置を講じることを望む」と明らかにした。今後、公社は旅客運送約款の危険物にバッテリーが含まれるかどうかの判断を国土交通部に依頼し、国土交通部は「リチウムバッテリーは危険物に該当し、列車内に携帯または積載できない物品と見なすことができる」という解釈を出した。
約款の改正は火災被害の予防という目的は明らかだが、そのために解決すべき課題が多く残されている。折りたたみ式電動キックボードや大容量リチウムバッテリーは肉眼での識別が難しいだけでなく、現在276の駅があり、一日平均660万人が利用するソウル地下鉄の特性を考慮すると、空港のような大規模な手荷物検査システムを導入しようとした場合、多くの費用が必要だ。
中小型バッテリーの持ち込み基準を航空機と同様のレベルで適用することにも困難が予想されている。
国土交通部は3月、リチウムイオン補助バッテリーの航空機内持ち込み手続きを強化するために、ビニール袋やポーチ内に保管した160ワットアワー以下の中小型補助バッテリーのみを乗客が直接身につけたり、座席前のポケットに入れるよう制限した。しかし、この方式は発表後に環境汚染や実効性をめぐる議論が続いた。
パク・サンウ国土交通部長官(当時)は4月に国会で「実効性の有無に関することを広範囲に専門家と航空業界の従事者から意見を聞く」として、関連規定を再検討すると述べている。
ソウル交通公社の関係者も「(大容量リチウムバッテリーを)バッグなどに入れて所持した場合、搬入制限が事実上困難だ」と述べ、「地下鉄を利用する乗客を対象にしたバッテリーの危険性についての広報が必要だ。市民の安全意識向上のための広報を続ける予定」と説明している。さらに、火災発生時の責任所在に関しても「約款改正時に責任所在項目を追加することを検討する」と付け加えた。
専門家らは新しい施策が有効になるよう、市民の意識向上が必要だと提言している。
ソウル市立大学防災工学科のハム・スンヒ教授は「160ワットアワーは一般的な補助バッテリーよりはるかに大きい容量だが、ノートパソコンやバッテリーを数台ずつ持ち歩いている時にはその容量を計ることは容易ではない」と述べ、「列車内で火災が起きれば大きな被害が出ることが予想されるので、このような措置は安全を守るためには必要だ」と述べた。さらに「何よりも市民が指針に従うよう、広報とキャンペーンを行うことが重要」と付け加えた。
国立消防研究院のキム・スヨン火災分析チーム長も「(バッテリーの所持を)いちいち点検することは事実上不可能なので、火災が起きた際にどのように対処すべきかについて、市民と職員への教育をさらに強化すべきだ」と強調した。
Copyrights(C) Edaily wowkorea.jp 107

