韓国電力の新安城変電所を視察する米国の電力網運営・建設企業の関係者(写真=韓国電力)
韓国電力の新安城変電所を視察する米国の電力網運営・建設企業の関係者(写真=韓国電力)
米韓政府が14日に2000億ドル(約31兆1000億円)の対米直接投資の内容を盛り込んだ了解覚書(MOU)を締結した中、電力業界が米国市場への進出に乗り出した。米国による高関税圧力を現地市場への進出のチャンスとして活用する戦略だ。

韓国電力公社によると、10日から14日にかけ、ITCホールディングス、AESコーポレーション、米国電力研究所(EPRI)など米国の電力網運営・建設に関連する13の企業や機関関係者を韓国に招待し、765キロボルト送電網の技術教育ワークショップを行った。

今回のワークショップは、765キロボルト超高圧送電網の北米市場への進出を模索するためのものだ。米国のAIデータセンターの電力需要が爆発的に増え、765キロボルト送電網の構築を推進中だが、経験不足により困難に直面している。韓国電力は今回のワークショップで現在運営中のシンアンソン(新安城)変電所とゴチャン(高敞)電力試験センターを紹介し、協力の機会を模索した。HD現代エレクトリック、LS電線、ボソンパワーテック、ジェリョン産業など電力機器企業の生産ラインの視察も行った。

電力産業界としては、米韓戦略投資MOUの締結が米国市場進出の大きなチャンスでもある。米韓両国の協約により韓国は計2000億ドルを米国に直接投資することを決め、このうちの相当部分が米国の電力インフラ投資に集中する可能性が高いためだ。

最終的には米国のトランプ大統領が投資先を決める構造だが、米国はAIデータセンターの普及に必要な電力需給に支障をきたしており、発電所と送電・変電設備の拡充を急いでいる。

韓国の電力業界も早期の米国電力市場への進出拡大を推進してきただけに、韓国政府の投資が米国市場への進出の可能性を高めるならば「ウィン・ウィン」になりうるとの見方もある。今回の対米投資事業は韓国政府が投資するため、韓国企業に優先的に参加する権利がある。

韓国電力のイ・チャンヨル技術企画処長は「『765キロボルトチームコリア』は世界的な競争力のある戦略モデルだ」と述べて「韓国の電力技術を駆使して米国の電力網に適用し、韓国企業が共同で世界市場に進出する出発点になると期待している」と述べた。

実際に、韓国より先に対米投資MOUを締結した日本も約束した5500億ドル(約85兆5000億円)規模の投資の中で半分を越える3320億ドル(約51兆6000億円)を大型原発および小型モジュール原子炉(SMR)の建設とその他の発電所、送電・変電設備部門に投資する。米国の原発企業ウェスティングハウス社の原発建設に三菱重工や東芝などの参加を前提に1000億ドル(約15兆5000億円)を、米国のエネルギー企業GEベルノバおよび日米合弁SMR企業である日立GVHのSMR建設に1000億ドルをそれぞれ投入する。

韓国の原発業界も「マヌガ(MANUGA)」と称する米韓共同での原発事業推進のための事前作業に着手した。韓国原子力輸出産業協会は、産業通商部の支援を受けて13日(現地時間)、米ワシントンD.C.で米韓原子力供給者フォーラムを開き、韓国の原発企業と米国の原発運営会社およびSMR開発会社と会合を行った。韓国電力と韓国水力原子力、韓電技術、ドゥサン(斗山)エネルギーなどチェコでの原発受注をけん引した「チームコリア」の一員のほか、中小・中堅設備企業も参加した。

ただし、韓国電力・韓国水力原子力とウェスティングハウス間の合弁法人の設立は遅々として進んでおらず、ややもすると米国の原発産業パートナーの地位を日本に譲る可能性も出ている。双方は今年の1月、知識財産権紛争の終結合意を契機に共同企業体の設立についての議論を続けてきたが、利益配分に関して意見が食い違う中で協議が遅々として進んでいない状態だ。
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