北朝鮮は2018年5月に豊渓里にある核実験場の坑道を爆破した。爆破される前の「4番坑道」(資料写真)=(聯合ニュース)
北朝鮮は2018年5月に豊渓里にある核実験場の坑道を爆破した。爆破される前の「4番坑道」(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国国防部の国防情報本部は5日、国会情報委員会の国政監査で、北朝鮮が新たに核実験を実施する可能性について、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)が実施を決めれば、北東部・豊渓里にある核実験場の「3番坑道」を利用した核実験が短期間で可能な状態と報告した。同委の与野党幹事が記者会見で明らかにした。

 国防情報本部によると、北朝鮮は核能力の高度化と拡大を続け、国際社会に核能力保有を暗黙的に認めさせようとしており、北西部・寧辺のウラン濃縮施設を拡張して核物質の確保を進め、多種多様な核弾頭生産施設を構築しているという。

 北朝鮮のミサイル開発については、短距離弾道ミサイル4種や600ミリ口径の多連装ロケット砲を近く実戦配備するとみられており、中距離ミサイルについては韓国の防衛システムを回避する目的で極超音速ミサイルの開発に集中していると報告した。

 大陸間弾道ミサイル(ICBM)については、米本土を攻撃可能な射程1万3000キロ以上の能力を確保したとみており、これまでは高角度のロフテッド軌道で発射してきたが、通常角度で発射するための技術検証しようとしているようだと分析した。

 北朝鮮の軍事偵察衛星については、「既存の衛星よりも解像度が高い偵察衛星確保のためにロシアの技術支援の下、追加で打ち上げを準備する動向がみられる」と報告した。

 韓国に向けてごみなどをぶら下げた風船を飛ばす行為については、「2024年11月以降、散布していないが、散布の可能性は残っている」として、風船を放つ場所と予想される約10カ所の地域で人や車両の活動が続いていると説明した。

 南北経済協力事業で韓国側の資金で設立された開城工業団地については、北朝鮮が一部を無断使用していることが確認されているとし、「軽工業、生活必需品関連の工場が稼働している」と説明した。開城工業団地内の総合支援センターの撤去作業については、「2024年12月18日から行われ、15階建ての建物のうち、現在11階まで撤去が進められていることが分かった」と報告した。

 北朝鮮における通常戦力の現代化については、「小型垂直離着陸無人機など偵察・攻撃・自爆用無人機の開発が非常に活発に進められており、試験飛行や運用者の訓練が前年より大幅に増加したことが把握された」と明らかにした。

 また遠距離の海の作戦能力確保に向け大型艦艇開発にも注力しており、西部の南浦、北東部の羅津でそれぞれ1隻の大型艦艇の進水が今年4~6月に行われたとし、正恩氏が毎年2隻ずつの建造を指示したと明らかにした。

 南北関係については、完全な断絶を現実化することで「敵対的な2国家」との位置づけを固定化させようとしていると指摘。軍事境界線(MDL)を国境線にするための作業を強行しており、非武装地帯(DMZ)に鉄柵や防壁を構築する作業を進めていると報告した。 

 また全地球測位システム(GPS)を妨害する電波を断続的に発信し、韓国に向けた「騒音放送」も続いていると説明した。また韓国に向けた拡声器は約40カ所に設置されており、一つ撤去されたが二つ新設され、かえって増えたと報告した。

 国防情報本部は北朝鮮が中国、ロシアとの連帯や核兵力を誇示することで戦略的立場を強化しているとし、ロシアとの軍事協力が長期化の局面に入ったと報告した。

 また、ロシアに派遣された北朝鮮兵士はウクライナと国境を接する西部のクルスク州で警戒や地雷除去の作戦に投じられており、ロシアは北朝鮮に戦闘や防空ミサイルなどの技術移転を続けていると明らかにした。そのうえで、北朝鮮がロシアのウクライナ侵攻を支援したことで得た知識を部隊に反映させていることが確認されているとし、訓練の増加や無人機の活用拡大などを指摘した。

 中朝関係については、9月の首脳会談を機に全面的発展の流れがみられるとし、中国の北朝鮮への輸出が急増していると伝えた。


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