国会で施政方針演説を行う李在明大統領(国会写真記者団)=4日、ソウル(聯合ニュース)
国会で施政方針演説を行う李在明大統領(国会写真記者団)=4日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は4日、来年度(1~12月)の政府予算案に関する施政方針演説を行い、「来年は人工知能(AI)時代を開き、韓国の新しい100年を準備する歴史的な出発点」とし、国会に対し予算案の早期成立に向けた超党派の協力を呼びかけた。

 李大統領は過去に朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が産業化のため高速道路というインフラを整備し、金大中(キム・デジュン)大統領が情報化のため高速インターネット通信網というインフラを整備したように、これからはAI活用に向けデータを超高速で処理するためのインフラを構築しなければならないと指摘した。

 具体的には、総支出を2025年比8.1%増の728兆ウォン(約77兆8100億円)で編成し、世界トップ3のAI大国への飛躍のために10兆1000億ウォンを配分。特にフィジカルAIの分野で世界をリードする国になるための投資を集中的に行うと説明した。

 また、この日就任から5カ月を迎えた自身の成果について、違法な「非常戒厳」宣言による混乱から回復するため強い決意で臨み、韓国株式市場の総合株価指数(KOSPI)が4000を超えるなど、韓国経済は危機を脱したと強調した。ただ、まだ安心はできず、貿易秩序の再編やAI大転換という波に対応できなければ危機的状況を迎えると指摘した。

 そのうえで、「産業化時代には1日遅れれば1カ月遅れ、情報化時代には1日遅れれば1年遅れを取ったが、AI時代には1日遅れれば1世代遅れを取る」とし、迅速な対応の必要性を強調。「産業化と情報化を成功させたように、偉大な国民とともに『AI時代』の扉を大きく開く」とし、「国民の底力を信じており、自信がある」と述べた。

 また国会に対し、「政府は開かれた姿勢で国会の提案に耳を傾ける」とし、「与野党の立場の違いがあっても超党派的な協力をお願いする」と要請した。

 李大統領はAI大転換を通じて軍の現代化を成し遂げ、自主国防を目指す意向も明らかにした。 

 李大統領は「通常兵器システムをAI時代に合わせて最先端兵器システムとして再編し、スマート強軍へと迅速に転換する」と表明した。そのうえで、「国防力を画期的に強化し、私たちの念願である『自主国防』を確実に実現する」と強調した。

 また「北(朝鮮)のGDP(国内総生産)の1.4倍に達する国防費を使い、世界5位の軍事力と評価されている韓国が国防を外部に依存するのは国民のプライドにかかわる問題」と指摘。AIや防衛産業など先端戦略産業分野の技術開発のための研究開発(R&D)投資を過去最大の35兆3000億ウォンに19.3%拡大したと説明した。

 対北朝鮮政策に関しては、「平和が揺らげば民主主義も経済も国民の安全も脅かされるしかない」とし、「南北の信頼回復と対話協力の基盤構築のため、大胆かつ大局的な努力を傾ける」と明言。軍事境界線一帯での軍事的な緊張緩和に向けた取り組みを続け、「平和・共存・共同成長の朝鮮半島新時代を切り開く」と強調した。

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の成果については、「韓米首脳会談を通じて米国と関税交渉を妥結することで、韓国経済の不確実性を緩和した」とし、「主力輸出品目である自動車と半導体分野で競争国と同等の水準の関税を確保することで、公平な場で競争できる土台を用意した」と説明した。

 さらに「原子力潜水艦の燃料供給協議の進展により自主国防の土台をより強固にし、ウラン濃縮と使用済み核燃料の再処理に向けた画期的な契機を設け、未来のエネルギー安全保障を強化できた」と語った。

 中国との首脳会談については「韓中関係を全面的に回復させ、両国が戦略的協力パートナーとして実用と共生の道へ再び共に進むことで一致した」と述べた。


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