通帳を渡した対価を受け取りにカンボジアへ行った20代が行方不明に=韓国
通帳を渡した対価を受け取りにカンボジアへ行った20代が行方不明に=韓国
韓国・キョンギ(京畿)ソンナム(城南)で家族から失踪届けが出された20代の男性が、通帳を渡した金を受け取りにカンボジアに行った後、現地で連絡が途絶えた。

この男性のケースのように犯罪組織らは通帳を渡す対価として数千万ウォン(数百万円)を提示している。しかし通帳を渡しても実際には対価を受け取れないケースも多いことがわかった。組織らは互いに自分をだました組織員の身元を共有し注意を促しているが、犯罪に使用されることを知りながら通帳を他人に渡せば刑事処罰の対象になる。

23日イーデイリーの取材を総合すると、京畿道城南市で家族から「カンボジアに行った後に連絡が途絶えた」と失踪届けが出されたキムさん(26)は、通帳を渡した対価を受け取るため今月6日に出国した。キムさんの位置が最後に確認されたのはカンボジアのポイペト地域だったという。

キムさんは当初、通帳を組織に渡して現地で前金500万ウォン(約53万円)を受け取り、通帳を犯罪に使用することができるかどうかをテストした後、500万ウォンをさらに受け取るという約束をしたと把握された。しかしキムさんは韓国の家族と連絡が途絶え、組織と推定される人物が家族に電話をかけ、「(キムさんが)拉致されたので2万テザー(USDT、約310万円)を送れ」と脅迫したという。

キムさんのように通帳を渡した後に対価を受け取るためカンボジアに行き拉致される韓国人が急増している。通帳は1通当たり2500万~3000万ウォン(約250万~300万円)で取引されている。通帳と口座は犯罪組織が最も入手しにくい犯罪必須品だ。通帳はマネーロンダリングする際に必要だが、韓国国内でボイスフィッシング被害が増え金融機関の口座開設手続きが複雑になったためだ。その結果、ここ数年間100万~200万ウォン(約円10万~20万円)だった通帳の価格が数千万ウォン台に跳ね上がったというのが現地の事情をよく知る人物の説明だ。

問題はいわゆる通帳を犯罪組織に渡す過程で予期せぬ出来事が発生した場合だ。組織に通帳を渡した後に犯罪組織が金を横取りしたり、金融当局のモニタリングに引っかかり口座が一時的に停止される状況が代表的だ。

このような場合、カンボジア現地に呼び出した通帳の持ち主を拷問したり、監禁したまま通帳に入った金を代わりに返せと脅迫し犯行が行われる。今月18日に韓国に送還された被疑者64人の一部もこのような経路でカンボジアに入国したと推定される。現地の事情をよく知るA氏は、「ミャンマー、カンボジアにはまだ(韓国に戻っていない人)が多い」と話す。

これとは反対に、通帳を渡したものの実際には犯罪組織と連絡が途絶え対価を受け取れないケースも少なくない。大金を目当てに通帳取引に加担しても実際に得るものがないばかりか、金銭的、身体的被害だけを負うことになる。テレグラム関連のチャットルームには通帳を受け取りながら対価を支給しない犯罪組織のテレグラム名、年齢、写真、居住地域などとともに注意を促す内容が共有されている。

しかし詐欺などの被害を負ったとしても他人に口座を渡せば刑事処罰の対象となる。この場合、電子金融取引法に基づき5年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金に処される。さらに犯罪に使われることを知っていたならば詐欺幇助(ほうじょ)罪でも処罰される。警察関係者は、「事案によっては犯罪団体組織罪の組織員として加担したことになる可能性もある」とし、「通帳1通でも他人に名義を渡すことは犯罪」と警告している。
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