インタビューに応じる安圭伯・国防部長官=(聯合ニュース)
インタビューに応じる安圭伯・国防部長官=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の安圭伯(アン・ギュベク)国防部長官は17日までに、国防部庁舎で聯合ニュース・聯合ニュースTVのインタビューに応じた。強力な破壊力で「怪物ミサイル」と呼ばれる新型弾道ミサイル「玄武5」について、量産する段階に入り保有数を大幅に増やす方策を講じており、今年末から実戦配備が始まると明らかにした。

 また「弾頭の威力と射程距離をさらに強化した『次世代ミサイルシステム』を開発し、保有数量を拡大して防衛体制を持続的に強化していく予定」と述べた。

 そのうえで「わが軍が保有する高威力ミサイルの破壊力と正確度などの性能を改良し、圧倒的対応に必要な十分な数量を確保し、北の核脅威に相応する『恐怖の均衡』を実現する」と強調した。

 安氏は「高威力ミサイルも北が保有する核兵器に比べれば威力が落ちるのではないか」という質問に対し、「高威力ミサイル約15~20発程度が落とされれば、核兵器以上の威力を発揮するというのがミサイル専門家らの判断」とし「核兵器に劣らない恐怖の均衡を実現できるのがまさに玄武5」と強調した。

 玄武5は昨年10月1日に開かれた「国軍の日」記念式典で初めて公開された。北朝鮮指導部が潜伏する地下バンカーを破壊するミサイルで、「韓国型3軸体系」関連兵器の一つ。韓国型3軸体系は北朝鮮のミサイル発射の兆候を探知して先制攻撃するキルチェーン、発射されたミサイルを迎撃する韓国型ミサイル防衛体系(KAMD)、北朝鮮から攻撃された場合に指導部などに報復攻撃を行う大量反撃報復(KMPR)からなる。

 安氏が言及した次世代ミサイルシステムは「玄武5」より弾頭の威力と射程が強化された弾道ミサイルで、現在開発段階にあるという。 

 安氏は恐怖の均衡を実現するためには、威力が弱い巡航ミサイルから怪物ミサイルまで多様なミサイルをこれまでにないレベルで多く持たなければならないと強調した。 

 安氏がミサイル戦力の画期的な増強を強調するのは日増しに高まる北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応するためだ。

 北朝鮮は10日夜、朝鮮労働党創建80年に合わせて閲兵式(軍事パレード)を開催。新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星20」やロシア製短距離弾道ミサイル「イスカンデル」の北朝鮮版とされる「火星11(KN23)」に極超音速滑空体とみられる弾頭を搭載した新型ミサイルを公開した。

 安氏は火星20について、火星19より本体の重量を落とす代わりに弾頭の重量を増やし、多弾頭を搭載する意図があるとの見方を示した。

 ただ、発射台周辺の整理など、火星20を年内に試験発射しようとする動きが確認されているが、まだ量産段階ではないと判断されており、多弾頭化の技術まで備えたとは言えない段階と指摘した。

 北朝鮮のICBMの性能については、「射程の側面で米本土に到達できる飛行能力をある程度確保したものとみられる」とし「ただ北はまだICBMの実際の射程(正常な発射角度)での試験発射を実施しておらず弾頭の大気圏再進入技術の確保には至っていない」と分析した。

 また現在国内総生産(GDP)比2.32%の韓国の防衛費を可能な限り早期に3.5%まで引き上げる意思も表明した。米国は韓国や北大西洋条約機構(NATO)加盟国などに対し、3.5%に引き上げることを求めている。

 安氏は「GDP比3.5%への引き上げが米国側の要求であるのは事実だが、米国が要求したからというよりは韓国の防衛力改善と自主国防のために主導的、能動的、体系的、安定的に進めなければならない」として「来年の国防予算を8.2%増額したが、今後8%程度の増額は継続しなければならない」と語った。

 「GDP比3.5%を2035年ごろに達成する計画か」という質問には「さらに前倒しすることも可能だと考える」としながらも、具体的な時期については言及を避けた。

 安氏は、米軍主導の韓米連合軍が持つ有事作戦統制権の韓国への移管を李在明(イ・ジェミョン)大統領の任期中に実現するためにも防衛費の増額は必要との認識を示した。韓米が移管に合意した2006年から、米側が提示した条件を満たすため韓国軍の血のにじむような努力が続いており、相当な成果を得ているとし、「1~2年以内にさらに拍車をかけなければならない」と強調した。また、李大統領の任期中の移管は可能との認識を示し、「必ずそうしなければならない」と強調した。

 7月25日に就任した安氏は64年ぶりの軍出身者でない民間出身で、就任後に報道機関の個別インタビューに応じたのは初めて。


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