ソウル中央地検情報技術犯罪捜査部は1日、サムスン電子の国家核心技術である18ナノ級DRAM工程を中国に不正に流出した容疑で、中国の半導体メーカー、長鑫存儲技術(CXMT)の開発責任者ら3人を拘束・起訴したと発表した。
拘束・起訴されたのは、サムスン電子の元役員で、CXMTの2期開発室長だったヤン容疑者。そのほか、元研究員のシン容疑者とクォン容疑者の計3人だ。
同メーカーは、中国の地方政府が2兆6000億ウォン(約2726億円)を投資して設立した中国初のDRAM半導体メーカー。検察は昨年1月、サムスン電子の元部長でCXMTの1期開発室長を、ことし5月には、元研究員で同社社員も同様の容疑で拘束・起訴している。
検察の調べによると、CXMTは設立直後、サムスン電子出身者2名をスカウトし、国家核心技術の確保と中核人材の引き抜きをもとにDRAM開発を計画した。CXMTの1期開発室長らは、サムスン電子の退職者を通じて、国家核心技術であるDRAMプロセスの資料を不正に入手していたことが判明。流出したのは、サムスン電子が1兆6000億ウォン(約1677億円)を投じて世界で初めて開発した、10ナノ級DRAMの最新プロセス技術だった。
今回起訴された3人は、流出した資料を受け取った後、サムスン電子の製品を分解して技術内容を検証し、製造テストを繰り返すことでDRAMを開発したとみられている。CXMTは2023年、中国初であり、世界で4番目となる18ナノ級DRAMの量産に成功した。
拘束・起訴されたサムスン電子の元役員ら3人は、CXMTからそれぞれ4~6年間にわたり、総額15億~30億ウォン(約1億4千万円~2億8千万円)の給与を約束されていた。これは、サムスン電子で得ていた年俸の3~5倍にあたる金額だ。
検察は今回の事件について、サムスン電子が被る損害は甚大だと指摘している。昨年の推定売上減少額だけで5兆ウォン(約5244億円)に達するほか、今後も数十兆ウォン(数兆円)規模の被害が見込まれており、「史上最悪の技術流出事件」だと説明した。
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