今回の演説は、用意された原稿を20分間、落ち着いて読み進める形式で行われた。濃紺のスーツにグレーの斜めストライプのネクタイ、太極旗のバッジをつけた李大統領は、ヨルダンのアブドゥッラー2世国王に続いて7番目に演壇に上がった。
演説時間は前任の大統領たちより長かった。ユン・ソギョル(尹錫悦)前大統領の初の国連演説(15分)より長く、ムン・ジェイン(文在寅)前大統領の22分に近かった。演説中、「大韓民国の国際社会への復帰宣言」、および「吸収統一を追求せず、敵対行為もしない」と明らかにした部分で聴衆から拍手が起こった。李大統領が「『共にするより良い未来』へと進んでいく」と締めくくる発言までに、合計3回の拍手が続いた。
李大統領は「昨冬の内乱の闇を克服した『光の革命』は、国連精神の達成を示した歴史的な現場であった」とし、「大韓民国の底力は、全世界の民主主義を支える力となるだろう」と述べた。李大統領は国連の成果と韓国の発展を結びつけながら、「世界の平和と安全維持という80年前の国際社会の決意と願いは、まだ終わっていない。大韓民国国民が証明した道に答えがある。それは、より多くの民主主義だ」と力説した。
演説で新たに提示された構想は「ENDイニシアティブ」であった。これは、北朝鮮に対する李大統領の政策構想の要約版である。李大統領は北朝鮮側の席を見ながら、「相手体制を尊重し、いかなる形の吸収統一も追求せず、一切の敵対行為も意図しない」と述べ、交流(Exchange)、関係正常化(Normalization)、非核化(Denuclearization)を三大原則として掲げた。
李大統領は「朝鮮半島で敵対と対決の時代を終わらせ、平和共存と共同成長の新たな時代を開かなければならない。非核化は短期間で解決できる課題ではない」とし、「核とミサイル能力の高度化を中断し、縮小を経て廃棄に至る段階的な解決策が必要だ」と述べた。また、国際社会が現実的な知恵を結集する必要がある点も強調した。
演説のもう一つの柱は人工知能(AI)であった。李大統領は「AI時代の変化に受動的に引きずられていれば、人権侵害と不平等というディストピアを迎えることになる」とし、「AIが安全保障能力を決定し、サイバー攻撃が国家安全保障を脅かす時代には、目に見える敵を超えて、見えない敵に立ち向かわなければならない」と指摘した。
AIを民主主義強化とイノベーションの原動力にできるという点も強調した。李大統領は「高い生産力を動力として、革新と繁栄の基盤を築き、直接民主主義を強化する土台を作ることができる」とし、国際社会に対して責任ある活用の議論を呼びかけた。
李大統領は、翌日に安全保障理事会の議長国として主宰する公開討論や、来月に慶州で開かれるAPEC首脳会議を具体的な舞台として提示した。李大統領は「APEC AIイニシアティブを通じて、各国が共有する未来ビジョンは、AIが人類の共栄に貢献する方向性を提示することになるだろう」とし、「AIがすべての人のための革新の道具となるよう、韓国が先頭に立つ」と述べた。
気候危機への対応も核心的な議題であった。「AIが主導する技術革新は、気候危機のような地球規模の課題を解決する新たなツールになるだろう」とし、韓国の「エネルギー大転換」を紹介した。イ大統領は「エネルギー効率を高め、再生可能エネルギーの比重を拡大し、今年中に国家温室効果ガス削減目標を提出する」と約束した。2028年にチリと共同開催する第4回国連海洋会議でも、持続可能な海洋発展のための連帯を構築すると明らかにした。
演説の終盤では、K-カルチャーの拡散に言及し、多様性と共感の力を強調した。
李大統領は「K-カルチャーの成功と拡散は、すべての背景の違いを超えて、人類普遍の共感が可能であることを証明している」とし、「連帯と共生、配慮のエネルギーを結集して新たな民主共和国を開いた大韓民国は、持続可能な未来と人類の新たな歴史に向けて進む準備を整えた」と述べた。
続けて「平和とは単に武力衝突のない状態ではなく、違いを尊重しながら共に生きる共同体の実現である」と定義し、「国際社会と国連が人類の未来を照らす希望の灯火を掲げてくれることを願う」と訴えた。
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