米国のジョセフ・ユン駐韓大使代理は17日、ソウル市内で行った講演で、韓米両国の大統領が「APECで会うだろう」と述べ、トランプ氏がAPECに出席するとの見通しを示した。
韓国の趙顕(チョ・ヒョン)外交部長官は中国・北京で行った王毅・共産党政治局員兼外相との会談後、記者団に習氏がAPECに合わせ訪韓する可能性について、「確実なものと感じた」と明らかにした。
トランプ氏と習氏がAPEC首脳会議に出席する場合、2012年の核安全保障サミット以来、13年ぶりに米中首脳がそろって韓国を訪問することになる。
APECでトランプ氏と習氏は世界の通商秩序を巡って対立する可能性がある。中国外務省によると、王氏が韓中外相会談で、「中国と韓国は経済のグローバル化の受益者として国際自由貿易体制を守るべきだ」「一方的な圧力が横行する情勢の中で保護貿易主義に共同で反対しなければならない」と述べた。名指しはしなかったが、相互関税などを通じた自国中心主義を振りかざす米国を念頭に置いたものとみられる。米国が掲げていた「自由な国際貿易秩序」を中国が主張する格好となっている。
習氏はAPECで米国の保護主義に反対する意思を示し、自由貿易を維持しなければならないとして、「国際貿易の秩序を守っているのは中国」とのメッセージを発する可能性が高い。一方、トランプ氏は自国優先主義の正当性を強調し、相互関税と対米投資の必要性を主張するとみられる。
米中の対立にAPEC加盟国がどう対応するかが焦点となる。APECは米国に友好的だが、第2次トランプ政権発足後初めて開かれる今回のAPECでは例年と異なる雰囲気が形成される可能性がある。トランプ氏の「貿易戦争」が中国を狙ったものだとしても、米国の友好国が被害を受けているためだ。その多数がAPEC加盟国で、今回、米中首脳と対面することになる。自由貿易秩序を米国の競争国となった中国が唱えている中、APEC加盟国は慎重な対応を強いられる。
韓国・梨花女子大の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は「中国が米国の向こうを張って自由貿易を唱えているが、トランプ大統領(の就任)前に非関税障壁を設けていたのは中国だったため、(中国を)真に信頼する国は多くない」として、米中が自国の立場を主張することで、協力を重視するAPECの目標が遠のく懸念があるとの見方を示した。
トランプ氏と習氏がAPECに合わせ、個別に会談するかも注目される。ただ、トランプ氏がAPEC前後に中国を訪問するとの観測もあり、状況は流動的だ。
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