米国政府による不法滞在者に対する突然の取り締まりで、300人を超える韓国人労働者が拘束されるという前代未聞の事態が発生した。これに対し、韓国の財界からは、これまでの不適切な出張慣行への反省の声とともに、米韓間のビザ関連協議が長期間停滞していたことへの批判が上がっている。
韓国の財界関係者は7日、同国メディア「聯合ニュース」の取材に対し、「企業は一貫して米国ビザ問題の解決を政府に求めてきたが、政府がまともに行動したことがあったか疑問だ」と指摘。「先月の米韓首脳会談でも、これに対するいかなる言及や発表もなかった」と述べた。
政府筋や財界によると、米国で合法的に働くためには、専門職従事者に抽選で与えられる非移民・就業目的のH1Bビザが必要となる。しかし、年間H1Bビザの発給件数が8万5000件に制限されているのに対し、世界中の申請者は50万人に迫るとされている。一部の国は数千から1万件ほどの割り当てを確保しているが、韓国には割り当てがない。
このため、韓国外務省が最大1万5000件の韓国人専門人材就業ビザE-4の新設を目指し、米国での立法活動に力を入れてきたものの、法案は議会の壁を越えられずにいる。こうした状況下で、韓国企業の労働者たちは米国で業務を行うため、会議出席や契約目的のB1ビザや、ビザなしの電子渡航認証(ESTA)で渡米する事例が後を絶たなかった。
反移民の姿勢を前面に掲げるトランプ第2期政権の発足後、韓国企業はこれまでの慣行や不適切な方法を見直した。しかし、企業内部の事情や米国内の人手不足など現実的な問題から、一部でこうした事例が残っており、今回の事態が起きた。
ある企業関係者は、「ビザが取得できるかどうかも不確かで、たとえ取得できたとしても手続きが複雑で時間がかかる」と述べ、「このような状況で、専門人材が技術を伝授し、業務の納期を守るために、ESTAで不適切な出張に行くことが頻繁にあった」と明かした。
さらに、「慣行だとしても、不適切な方法や違法行為を犯したならば、問題であることは明らかだ」としながらも、「企業からの苦情が絶えなかったのに、政府はきちんと関心を持っていたのか。今から改善するというのだから幸いだが、時すでに遅しだ」と語った。
今月4日(現地時間)、米国移民税関執行局(ICE)と国土安全保障捜査局(HSI)などは、ジョージア州アラバマにある現代自動車グループとLGエネルギーソリューションの合弁バッテリー工場(HL-GAバッテリー会社)の建設現場で、大規模な不法滞在者取り締まりを実施した。
これにより、LGエネルギーソリューション所属の47人(韓国籍46人・インドネシア籍1人)と、HL-GAバッテリー会社関連の設備協力会社所属の約250人が拘束された。
カン・フンシク(姜勳植)大統領秘書室長は同日、労働者の解放交渉が完了し、行政手続きを終え次第、チャーター機を飛ばす予定だと明らかにした。その上で、「類似事例の防止のため、産業通商資源省や関連企業と協力し、対米プロジェクト関連出張者のビザシステム点検と改善策を進めていく」と述べた。
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