ソウル中央地裁のチョン・ジェウク(鄭宰旭)令状専担部長判事は27日、韓氏に対する逮捕前被疑者尋問(令状実質審査)を実施した。その結果、「重要な事実関係や被疑者の一連の行動に対する法的評価について、争う余地がある」とし、逮捕状を棄却した。
鄭判事は、棄却理由について「現在までに確保された証拠や捜査の進捗状況、被疑者の現在の地位に照らし、防御権の行使を超える証拠隠滅の恐れがあるとは認めがたい」と説明。また、「被疑者の経歴、年齢、住居、家族関係、捜査手続きでの出頭状況、供述態度などを総合的に考慮すると、逃亡の恐れがあるとも判断しにくい」と述べた。
韓氏は、昨年、当時のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が違法とみられる非常戒厳を宣布した際、「第1国家機関」であり「国政のナンバー2」である首相として、これを阻止できずほう助した容疑を受けている。
特別検察官(特検)チームは、韓氏が戒厳宣布以前に閣議の招集を建議したことも、戒厳を阻止する目的ではなく、手続き上法的な体裁を整えるためだったと、逮捕状に記載した。
韓氏は、最初の戒厳宣布文の法的欠陥を補うため、事後宣布文を作成し、これを破棄した容疑も持たれている。特検チームは、戒厳後の昨年12月5日、当時のカン・ウィグ大統領室付属室長が作成した虚偽の戒厳宣布文書に、キム・ヨンヒョン(金龍顯)前国防相と共に署名した後、「事後作成が発覚すれば、新たな論争になりかねない」として、廃棄を指示したと見ている。
また、韓氏は「戒厳宣布文を認識していなかった」との趣旨で、憲法裁判所で偽証した容疑も受けている。これに先立つ尹前大統領の弾劾審判での証言では「いつ、どのように(戒厳宣布文を)受け取ったかは記憶にない」と主張していたが、19日の取り調べでは「尹前大統領から受け取った」とこれまでの供述を翻したことが明らかになった。
しかし、韓氏側は、主要な容疑について否認。この日の審査でも偽証関連の内容を除き、大半の容疑を認めなかったという。韓氏は、戒厳宣布を阻止しようと努力したが、大統領の意思が強く止められなかったこと、閣議を招集したのも戒厳を思いとどまらせるためだったと主張している。
事後作成・署名した戒厳宣布文については、作成直後に廃棄したため、戒厳を合法化しようとする試みとは言えず、尹前大統領など戒厳の主犯はすでに逮捕されているため、証拠隠滅の可能性も低いとの見解を示している。
特検チームは、この日の審査に54ページにわたる逮捕状請求書と362ページの意見書、160枚のPPT資料、防犯カメラ(CCTV)映像などを提出し、容疑および逮捕の必要性を証明するため、総力を挙げた。
しかし、裁判所は、双方の主張を検討した結果、特検チームが提示した証拠だけでは逮捕捜査の必要性が証明されていないと判断し、逮捕状を棄却した。
韓氏の逮捕状棄却により、今後の特検チームの捜査は難航が予想される。実際には、内乱ほう助容疑の証明が不十分であると裁判所が判断したことで、他の閣僚に対する容疑の適用についても再検討が迫られるとみられる。
ほう助犯の場合、主たる犯罪行為者(正犯)の違法行為の実行を支持・援助したかどうかが核心。この容疑を構成・適用するには、客観的要件として支持・援助行為の有無、主観的要件としてその意図の有無を問うことになる。
裁判所は、韓氏側の説明に基づき、韓氏の一連の行為とこれまでに把握された意図が、犯罪の構成要件を成立させると確信するには至らず、「争う余地がある」と判断したものとみられる。
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