6月の大統領選で当選を果たし、第21代韓国大統領となった李氏は、就任以来、閣僚選びを迅速に行うなど、「即断即決」で政権運営を進めてきた。対外的には就任から間もなくしてカナダ西部カナナスキスで開かれた先進7か国首脳会議(G7サミット)に招待され出席。早々と外交デビューを果たした。滞在中、9か国・地域の首脳と経済など多様な分野の協力強化策について話し合った。石破茂首相との初の日韓首脳会談も行った。前政権で冷え込んだ北朝鮮との関係改善にも乗り出している。李氏は政権運営が評価され、6、7月と、60%台の支持率を維持してきた。
就任から約2か月が経った今月15日、ソウル市の光化門広場で李氏の「国民任命式」が開かれた。任命式には一般市民も含め約1万人が出席。李氏は聴衆を前に、「国民の皆に捧げる手紙」を朗読し、「国民の忠実な働き手として、ただ国民だけを信じ、『国民が主人の国』『国民が幸せな国』に向かって進む」と表明した。
就任以来、好調な支持率を維持してきた李氏だが、8月に入って下落している。世論調査会社のリアルメーターが今月11~14日に全国の18歳以上の2000人を対象に行った調査の結果、李氏の支持率は前週から5.4ポイント下がって51.1%だった。李氏の支持率が下落するのは2週連続。
また、世論調査機関の韓国ギャラップが12~14日に実施した調査でも、李氏の支持率は59%に下がった。同期間による調査で李氏の支持率が50%台に落ち込むのは今回が初めて。不支持の理由として最も多かったのは「特別赦免(特赦、日本の恩赦に相当)」で22%を占めた。
李氏は日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の15日、特赦を実施した。計2188人が対象となったが、この中には、子どもの不正入学疑惑に絡む公文書偽造・同行使罪などで服役中だった少数野党「祖国革新党」のチョ・グク元法相や、慰安婦のための寄付金を横領した罪で有罪判決を受け、執行猶予中だった慰安婦支援団体のユン・ミヒャン前代表らも含まれた。かつて世間を大きく騒がせながら、有罪判決を受けてから間もないチョ氏やユン氏らが特赦の対象に含まれたことに、一部の国民や野党、市民団体などからは反発の声も上がった。チョ氏は与党「共に民主党」に近い人物で、ユン氏は同党の元議員。韓国紙の朝鮮日報も、9日付の社説で、「自分の味方だからといって国民情緒を度外視した決定を下してはいけない」と批判した。
李政権を支える「共に民主党」の支持率も下落している。リアルメーターの最新の調査結果では、同党の支持率は39.9%で、前週から8.5ポイント急落した。30%台となるのは7か月ぶり。これに対し、先の大統領選で、政権の座を失った野党「国民の力」の支持率は36.7%で、6.4ポイント上昇した。
この結果に、「国民の力」の有力議員で、近く行われる党代表選にも出馬しているアン・チョルス(安哲秀)氏は18日、SNSに、「サンキュー、チョ・グク!より一層精力的に活動してください」とのタイトルで投稿した。アン氏は、「このような李大統領の支持率下落は、チョ(祖国革新党)前代表とユン元議員の特別赦免が大きく作用したものだ」と分析。「李大統領の支持率を下げてくれてありがたい」とした。その上で、「(李大統領の支持率が)50%を下回るのは目前だ」との見方を示した。
かねてからアン氏は今回の特赦にチョ氏とユン氏が対象に含まれたことを強く批判していた。15日、日本による植民地支配からの解放記念日「光復節」の式典に出席していたアン氏は、李大統領が祝辞を述べている最中に立ち上がり、「チョ・グク、ユン・ミヒャン罷免反対」と書かれた横断幕を広げて抗議した。アン氏は、「赦免するには不十分なチョ・グク、ユン・ミヒャンを赦免するとは、若者やこれからの将来を担う世代にどう説明すればいいのか。罪を犯しても権力を握ればその罪が軽くなるということを自ら示しているようなものだ」と非難した。
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