麻浦マンション火災「スプリンクラー」また未設置=韓国
麻浦マンション火災「スプリンクラー」また未設置=韓国
韓国ソウル市マポ(麻浦)区で17日朝、火災が発生し、住民2人が死亡、13人が負傷した。火災が起きたマンションはスプリンクラーの義務設置対象から除外されていたため、被害が大きかったと指摘されている。専門家らは、繰り返される人的被害を減らすため、スプリンクラーの設置拡大が必要だと強調した。

消防当局によると、この日午前8時17分ごろ、麻浦区のあるマンションの14階で火災が発生し、住民2人が死亡、13人が負傷した。負傷者のうち6人は現場で処置を受け、火傷を負ったり煙を吸い込んだ残りの負傷者は近隣の病院に搬送された。

マンション住民から「黒い煙が見える」との通報を受けた消防は、対応レベル1を発令し、消防人員186人を投入して火災発生から約2時間25分後に鎮火した。

消防によれば、火災が発生した14階にはスプリンクラーが設置されていなかった。火災が発生したマンションが竣工された1998年当時の消防法施行令では、16階以上の共同住宅の16階以上の階にのみスプリンクラーの設置が義務付けられていた。この条例は2018年1月から「6階以上の建物のすべての階」にスプリンクラー設置を義務付けるように法改正されたが、それ以前の建築物には遡及して適用されなかった。

このマンションの3階にいたチェ氏は「8時ごろ避難したが、その時は警報音もスプリンクラーの作動もなかった」とし、「スプリンクラーがあれば初期消火が早くできただろう。古い住宅は仕方がないという扱いのままなので被害が大きい」と語った。 同じマンションの4階に住むパク氏も「スプリンクラー設置は費用がかかるが、技術的には可能だと聞いた。古い住宅の住民として残念だが、どう解決できるのか分からない」と吐露した。

スプリンクラーが設置されていない共同住宅での火災による人的被害は繰り返し発生している。

先月13日、プサン(釜山)北区のあるマンションで、就寝中だった80代の母親と50代の長男が火災で命を落とした。彼らが暮らしていたマンションは15階建てで、2003年前後に建築許可が下りたが、スプリンクラー設置義務は建築許可の時点を基準に適用されるため、義務設置対象ではなかったとされる。ことし6月、10歳と7歳の姉妹2人が死亡したマンション火災現場も、スプリンクラーが設置されておらず、老朽化したマンション火災のリスクが改めて問題視された。

共に民主党のヤン・ブナム議員が、消防庁から提出を受けた「共同住宅スプリンクラー設置現況」によると、2024年1月現在、全国の共同住宅4万4208団地のうちスプリンクラーが設置されているのは1万5,388団地で、設置率はわずか35%だった。さらに、設備が正常に作動しない事例も頻発している。2019年から2023年までの5年間に共同住宅で発生した火災2万3,401件のうち、スプリンクラーが正常に作動したのは15.6%(3,656件)にとどまった。この期間に火災で亡くなった人は325人、負傷者は2,477人に達した。

このように人的被害が繰り返されていることから、国会ではスプリンクラー設置義務の拡大を目指す動きも出ている。キム・ミエ議員をはじめとする国会議員10人は、先月23日、共同住宅の全階にスプリンクラーまたは簡易スプリンクラーの設置を義務化する内容の消防施設法一部改正案を発議した。

これについて専門家は「スプリンクラーは非常に複雑な設備であり、住民が居住している建物に後から設置するには費用と時間が多くかかる」とし、「法律が遡及適用されないため、後から設置する事例は少ない」と指摘した。さらに「屋内消火栓は自動で消火するスプリンクラーとは異なり、住民が火災を認知して積極的に消火しなければ効果が出ない」とし、「今よりも居住環境が改善されるよう、国民的合意と制度の変化が必要だ」と提言した。

今回火災が起きたマンションが位置する地域を選挙区に持つチョン・チョンレ共に民主党代表は、火災の知らせを受けてマンションを訪れ、犠牲者の冥福を祈るとともに、再発防止に尽力すると述べた。チョン代表はSNSでも「老朽マンションにスプリンクラーがなかったと聞いたが、安全が最も重要だ。こうした部分までしっかり点検し、備えられるよう最善を尽くす」と表明した。パク・カンス麻浦区庁長も「突然の火災で尊い命が犠牲になり、深い哀悼の意を表する」と述べ、「被災住民が一日も早く安定を取り戻せるよう、区として必要な支援を惜しまない」と語った。

一方、消防当局と警察は具体的な火災原因を調査している。
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