5月にSBSのドキュメンタリー番組でも報道されたカンボジアの犯罪集団の活動拠点で、韓国人男性の遺体が発見される事件が発生した (写真=SBS「それが知りたい」からのキャプチャー)
5月にSBSのドキュメンタリー番組でも報道されたカンボジアの犯罪集団の活動拠点で、韓国人男性の遺体が発見される事件が発生した (写真=SBS「それが知りたい」からのキャプチャー)
カンボジアのある犯罪集団の活動拠点で韓国人男性の遺体が発見され、現地の警察が捜査している。遺体にはあざなどの暴行と拷問の痕跡があったという。

韓国外交部などによると、カンボジア警察はカンポト州ボコサンのある犯罪集団の活動拠点にある大型のごみ箱から布団と黒い袋に包まれた遺体2体を収容した。このうちの1体は韓国人男性のパクさんであることが確認された。

発見されたパクさんの顔はひどく腫れており、全身に赤黒いあざや血痕など、殴打された跡が多数あった。

パクさんの遺体が発見された場所は「ウェンチ」と呼ばれる大規模な詐欺コールセンターだ。中国人のギャング組織が集まるこの場所では、大規模なボイスフィッシングや投資詐欺など各種のサイバー犯罪が行われていることで知られている。パクさんもここに監禁されていたが、組織内部の問題により殺害されたものと推定されている。

外交部の関係者は「事件が発覚した直後からカンボジア警察に迅速な捜査を要請するなど、必要な手続きを行っている」としながらも、「具体的な内容はまだ確認できていない」と述べた。

ここは事実上、現地警察の手が届かない治外法権エリアとしてもよく知られている。最近は韓国人を誘引し詐欺犯罪に動員する事例が増加している。

人権団体のアムネスティ・インターナショナルによると、カンボジアにはこのような犯罪集団の拠点が50か所以上存在する。その大半が中国の有名なギャングである三合会などによって運営されており、彼らは殺人さえも躊躇(ちゅうちょ)しない残酷な組織だという。

警察によると、この犯罪拠点には現在約1000人の韓国人が滞在しており、そのほとんどが「高収入・海外就職」を謳(うた)うインターネットの求職掲示板を見て応募し、カンボジアで犯罪組織に引き渡された人たちだ。

国民の力のキム・ゴン議員室が外交部から受け取った資料によると、カンボジアで拉致・監禁された韓国人の数は2023年の21人から2025年には221人へと10倍以上に増加している。今年の上半期にも212人の韓国人が監禁されていると推定されている。このまま推移すると、今年の被害規模は昨年の2倍に達するものとみられている。

最近カンボジアの犯罪集団の活動拠点から脱出したという28歳の韓国人男性Aさんは「中国の組織の構成員は金のためなら簡単に人も殺す」と語り、「殴打や電気を使用しての拷問が横行しており、脱出しようとして捕まって倉庫に1週間閉じ込められ、水を使っての拷問を受けたこともある」と打ち明けた。

毎年多数の韓国人が犯罪拠点に流入しているにもかかわらず、韓国の外交部と警察庁はこれといった対応策を出せずにいるのが実情だ。現地での救出が難しいだけでなく、捜査の権限がないためだという。警察はカンボジア大使館に人員1人を派遣し、大使館では監禁被害者に対し現地警察に直接通報するよう呼びかけている。
Copyrights(C) Edaily wowkorea.jp 107