ソウル近郊の平沢港で輸出を待つ自動車=(聯合ニュース)
ソウル近郊の平沢港で輸出を待つ自動車=(聯合ニュース)
【世宗聯合ニュース】韓国政府系シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)は12日に発表した「修正経済見通し」で、今年の韓国の実質国内総生産(GDP)成長率を0.8%と予測し、5月時点の予想を据え置いた。

◇0%台の見通し維持 市場の期待感と温度差

 KDIの今回の見通しは、4~6月期のGDP成長率などに基づく市場の期待感とは温度差がある。

 サムスン証券をはじめとする韓国主要証券会社7社は韓国の成長率見通しを1%以上に上方修正した。先月末時点での主要投資銀行(IB)8行の平均は1.0%で、6月に0.9%に引き上げられたのに続き2カ月連続で上昇した。

 KDIは0%台の成長率見通しを維持した主な理由として、建設投資の不振を挙げた。

 上半期の建設投資が従来の見通しを下回ったなか、不動産プロジェクトファイナンス(PF)の正常化が進まず、建設投資の回復が遅れる可能性があると判断した。

 このほか、融資規制の強化や李在明(イ・ジェミョン)新政権が力を入れている建設現場での事故防止強化などが建設業の不振に影響する恐れがあると指摘した。

◇今年の輸出増加率は上方修正 米関税に備えて輸出増加

 KDIは今年の輸出増加率も昨年(6.8%)から大幅に鈍化した2.1%と予測。下半期に本格化すると見込まれる米国の関税引き上げが影響したと説明した。

 ただ、上半期の予測からは1.8ポイント引き上げ、商品輸出の増加率も1.6ポイント上方修正した。

 半導体が世界的に好調で、関税の影響を避けるための先制的な輸出が大幅に増加した点が反映された。

 設備投資は、対外不確実性の高まりにもかかわらず金利の低下と半導体景気の影響で従来の見通しと同様に1.8%の緩やかな増加傾向を維持すると予想した。

 民間消費は「民生回復消費クーポン」給付などの景気浮揚策と低金利の影響で不振が緩和され、今年は1.3%増加すると見込んだ。2度の補正予算の効果を反映し、従来の見通しから0.2ポイント上方修正した。

 今年の消費者物価は2.0%上昇すると予測した。上半期の見通しを0.3ポイント上方修正したが、昨年(2.3%)よりは低い。

 経常収支は半導体の好調と貿易条件の改善により、今年は1060億ドル(約15兆7000億円)、来年は910億ドルの大幅な黒字を記録すると予想した。

 今年の就業者数の増加幅は15万人と予想した。政府が雇用規模の見通しを上方修正したことや雇用と密接な関係にある民間消費の改善などを反映して上半期の見通しから6万人引き上げた。

◇半導体の関税・不動産PFがリスク要因に 利下げの緊急性は低下 

 KDIは来年の韓国のGDP成長率を5月の見通しと同じ1.6%と予測した。

 建設投資は建設受注が回復して不振が緩和され、2.6%増加すると予想した。民間消費も1.5%増え、今年より増加幅が拡大すると見込んだ。

 一方で、米国と主要国間の貿易摩擦が激化すれば世界的な景気鈍化につながり、成長率などの見通しが悪化する恐れがあるとして憂慮を示した。

 なかでも、米国が半導体に課す関税を輸出のリスク要因に挙げた。先ごろ発表された半導体の品目別の関税は詳細が明らかになっておらず、今回の見通しには反映されていない。

 KDIは、不動産PF市場正常化の遅延もリスク要因だとし、建設会社の財務健全性の悪化につながり建設投資の回復が遅れる可能性があると指摘した。 

 鄭圭哲(チョン・ギュチョル)経済展望室長は、追加利下げの必要性について「財政政策で民間消費の増加率見通しが引き上げられた点を踏まえると、利下げの緊急性は前回に比べ大幅に低下した」と述べた。


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