ドナルド・トランプ米大統領は、5日にCNBCのインタビューで、韓国・日本・欧州連合(EU)などが米国に対し大規模な投資を約束したことに関して「これは貸付ではなく、贈り物だ」と述べた。これは、韓国政府が3,500億ドル(約7兆3,500億円)の対米投資を「再投資の性格であり、かなりの部分は貸付や融資保証で構成されている」と説明した内容と食い違う。
これに先立ち、ハワード・ラトニック米商務長官は「投資利益の90%は米国が得る」と発言したが、韓国大統領室のキム・ヨンボム政策室長は「収益構造はまだ決まっていない」として否定した。
今回の協議は、米国による高関税措置の嵐を回避し、韓国経済の不確実性を大きく和らげたという点で一定の評価に値する。しかし、合意文書が一枚もないまま協議が終わったことに対する不安と疑問は拭えない。今後、解釈や追加交渉の段階で摩擦が生じる可能性が少なくないという懸念が現実味を帯びてきている。国家間の合意とは、信頼を基に互いに約束を交わす行為であることを踏まえると、今回のような状況は憂慮すべき事態である。両国関係は、堅固な経済同盟としてさらに発展していくべきであり、そのためには丁寧な調整と合意形成が不可欠だ。
厳密に見れば、今回の協議によって韓国の輸出企業は自由貿易協定(FTA)という防御の盾を失ったに等しい。たとえば、自動車については日本の関税が従来の2.5%から15%に引き上げられたのに対し、韓国は無関税の恩恵がなくなり、競争力が低下した形だ。こうした輸出における危機の兆候は他にもある。国際的な信用格付け機関フィッチ・レーティングによると、韓国の対米実効関税率は4月3日以前は0.2%にとどまっていたが、8月以降は17.1%まで跳ね上がった。国別順位でも、フィッチが調査対象とした21カ国の中で韓国は以前は共同3位だったが、現在は中下位にあたる15位に転落した。16位の日本(実効関税率17.6%)との差も1.3ポイントから0.5ポイントへと大きく縮まった。
韓国商工会議所のチェ・テウォン会長は、4日に「今回の協議がすべて終わったと見るには、まだ時期尚早だ」と述べた。彼の言葉通り、今回の協議は最悪の事態を回避した「善戦」には違いないが、韓国経済にとっては依然として多くのリスク要因が残されている。政府は、両国の首脳が直接会って最終的な決着を見るその日まで、細部にわたる交渉内容をしっかりと把握し、国益を守るために最善を尽くすべきである。
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