特に、韓国の主力輸出品目である半導体などに対する関税が個別に賦課された場合、輸出への影響はさらに大きくなる見通しだ。韓国政府は少なくとも今年までは半導体業界の景気が堅調だと予想しているが、専門家の間では8月からただちに状況が変わる恐れもあるとの懸念も出ている。
輸出業界によると、米国による高関税率の予告による不確実性の中でも先月の韓国の輸出が2ヵ月連続でプラスを記録したが、今月からは増加傾向を維持できるかは予断を許さない状況だ。
産業通商資源部が1日に発表した7月の輸出入動向によると、韓国の先月の輸出額は608億2000万ドル(約9兆円)で昨年の同じ月より5.9%増加した。特に半導体の7月の輸出額は147億1000万ドル(約2兆1700億円)と昨年より31.6%増加し、7月期としては過去最高を記録した。自動車輸出も米国の25%の関税賦課の影響にもかかわらず58億3000万ドル(約8630億円)を記録し、昨年の同じ月より8.8%増加した。
米国の相互関税予告による不確実性の中でも意外に実績が良かったとの評価が出ているが、問題は今月からだ。米国の輸出品に15%の関税が賦課されることが決まった今、輸出環境は依然として良いとは言えない状況だ。7月の輸出増加について、一部では前倒しで輸出が増えただけとの分析も出ている。
対米輸出のみで見ると、先月の輸出額は103億3000万ドル(約1兆5300億円)で前年より1.4%増加したが、中国(110億5000万ドル/約1兆6300億円)とASEAN(109億1000万ドル/約1兆6100億円)に続き3位に転落した。1ヵ月前の6月の対米輸出額は112億4000万ドル(約1兆6600億円)で、中国(104億1600万ドル/約1兆5400億円)、ASEAN(97億6400万ドル/約1兆4400億円)をリードし1位を記録していた。
また、今回の米韓関税交渉の合意により自動車の関税率は15%に下がったが、これまで関税がかかっていなかった状況と比べると輸出額が減少するとの見方も出ている。トランプ関税の賦課以前には2.5%の関税をそれぞれ賦課されていた日本やヨーロッパ連合(EU)とは異なり、韓国は非課税であることで競争力を備えていた点を考慮すれば、今後は価格面でのメリットが消滅することになる。
韓国貿易協会国際貿易通商研究院のチャン・サンシク院長は「結局、自動車業界はコストの削減と経営合理化を通じ、これまで享受してきた価格面でのメリットを克服しなければならない」と述べ、「第3国では中国の電気自動車が大きくシェアを伸ばしているため、韓国としては高級車のラインナップを改善すべき」と述べている。
ミョンチ(明知)大学国際通商学科のキム・テファン教授は「ヒョンデ(現代)自動車はこれまでの関税の恩恵を失うことになり、営業利益率の下落につながる」と述べて、「今年の第2四半期の現代自動車の営業利益率が7%台まで下がったのも、関税の負担が企業に転嫁された結果」と説明している。
米国が予告している半導体と医薬品への関税に対する懸念も依然として残っている。韓国政府は半導体への関税が決定されても、韓国が最も大きな恩恵を受けるとしているが、これを断言することは難しい。
スンシル(崇実)大学グローバル通商学科のク・ギボ教授は「韓国政府は半導体輸出の中の対米輸出比重が7%程度しかないとの論理を展開しているが、韓国の半導体部品を使用して台湾などが米国に輸出する完成品の物量は途方もない」と述べ、「間接輸出まで計算すれば影響は少なくないだろう」と見通している。
セジョン(世宗)大学経営学部のキム・デジョン教授は「半導体は米国内の供給網再編政策の中心になっているため、最も大きな恩恵を受ける国家としての待遇は形式的な保障に過ぎず、実際には米国内の生産拡大の条件や輸出規制の迂回防止条項などが追加される可能性が高い」と懸念している。
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