ソウル南方の平沢港で輸出を待つ韓国製自動車=31日、平沢(聯合ニュース)
ソウル南方の平沢港で輸出を待つ韓国製自動車=31日、平沢(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】トランプ米政権が31日、韓国の主力輸出品目である自動車の関税率を25%から15%に引き下げる内容の交渉結果を発表し、韓国自動車業界には安堵の雰囲気が漂っている。一方では韓米自由貿易協定(FTA)により10年近く無関税で自動車を輸出してきた韓国が、2.5%の関税率が適用されてきた日本や欧州連合(EU)と同じ関税率になったことを惜しむ声も上がっている。

 

 これに先立ち、米国は日本、EUとも自動車の関税率を15%とすることで合意した。

 韓国自動車大手の現代自動車と傘下の起亜は、関税の影響を最小限に抑えるため多角的な方策を推進すると同時に、品質やブランド競争力の強化、技術革新などを通じてさらに製品力を高めると強調した。

 国内で生産した自動車の9割近くを米国に輸出する韓国GMを筆頭に、自動車業界は米自動車市場における最大のライバルである日本やEUと関税率に差がないことに胸をなで下ろしている。

 業界関係者は「無関税だった状況と比べると打撃はあるが、まずは最大の競争国である日本、欧州と同じ条件を受け入れたため、今後価格競争力で韓国車のみが損をする最悪の状況は避けられた」と述べた。

 韓国自動車モビリティー産業協会(KAMA)によると、昨年の米国市場でのトヨタ、ホンダなど日本の7ブランドの販売台数は588万台(シェア37.1%)、ドイツ3社(メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン)を含む欧州系ブランドは162万台(10.3%)で、現代自動車・起亜は計170万台、シェア10.8%を記録した。

 今回関税率が引き下げられたことで、現代自動車・起亜の収益性改善にも多少の効果があるとみられる。

 4月から25%の自動車関税が適用されたことで、両社の4~6月期の営業利益は現代自動車が前年同期比15.8%減り、起亜は同24.1%減少。合算すると19.6%減となった。

 ただ、日本とEUに適用される15%の関税率は従来の2.5%の関税に自動車品目の関税12.5%を加えたものであり、韓国の関税を基準点となる12.5%まで下げられなかった点は惜しまれる。

 大統領室の金容範(キム・ヨンボム)政策室長はこの日の記者会見で、韓国側交渉団は最後まで12.5%を主張したが、トランプ米大統領が15%の関税率を押し通したと説明した。

 韓国・大林大の金必洙(キム・ピルス)教授は、これまでFTAで得てきた利益を全て逃すことになり、長期的に打撃が避けられないとしたうえで「今後韓国政府が交渉を続け、FTAの利点を少しでも生かすよう努力しなければならない」と述べた。

 韓国貿易協会のチャン・サンシク国際貿易通商研究院長は「トランプ大統領が言う不公正貿易がいまやグローバルスタンダードになった」とし、政府は韓国における米国製自動車の販売台数が多くなく、大きな影響がないと判断して15%の関税率を受け入れたとの見方を示した。


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