「トランプを意識?」パウエル「FRBは政府の利払い費用を考慮しない」
「トランプを意識?」パウエル「FRBは政府の利払い費用を考慮しない」
米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は30日(現地時間)、FRBが金融政策を決定する際に、政府の財政状況や利払い費用は考慮の対象にはならないと強調した。

 パウエル議長は、この日開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)会合後の記者会見で、「我々は議会から、物価の安定と労働市場の強化という明確な使命を受けている」と述べ、「その使命以外に連邦政府の財政的ニーズは考慮しない」と明言した。

 さらに、「先進国の中央銀行で、政府の財政負担を考慮して政策金利を決定する国はない」とし、「FRBがそのような行動を取ると信頼性を損なうため、望ましくない」と強調した。

 この発言は、ドナルド・トランプ大統領がパウエル議長に対して執拗に利下げを要求している状況の中で出たものだ。トランプ氏は就任前から一貫して利下げを求めており、最近では国債の利払い負担を理由にパウエル議長への圧力を強めている。パウエル議長の今回の発言は、こうした政治的圧力に対抗してFRBの独立性を強調する狙いがあると見られる。

 多くの経済学者も、中央銀行が政府の借入コストを下げるために金利を操作すると、物価のコントロール能力を失い、独立的な政策運営が困難になると指摘している。

 この日、FRBは政策金利を現在の4.25~4.50%に据え置くことを決定した。これまで強く利下げを主張してきたミシェル・ボウマン理事とクリストファー・ウォラー理事の2人は反対票を投じ、アドリアナ・クグラー理事は採決に参加しなかった。2人の理事が金利決定に反対票を投じたのは1993年以来初めてだが、市場では予想されていたため影響は限定的だった。

 FRBは最近、関税変動など政府の経済政策が実体経済に与える影響を精密に分析しており、9月の利下げ実施の可否を検討する見込みだ。

 一方、FRBはトランプ大統領から継続的に利下げの圧力を受けてきた。トランプ氏はFRBの金利が高すぎて、政府の国債利払い費用が急増していると主張し、金利を1%程度まで下げるべきだと訴えている。実際、アメリカ政府の利払い費用は昨年1兆1,000億ドルに達し、コロナ前の2倍以上となっている。

 しかし、FRBが急激に政策金利を引き下げた場合、関税引き上げなどですでに圧力を受けている物価がさらに上昇し、これが国債金利の上昇につながって、政府の借入コストをむしろ押し上げる逆効果になるとの分析も出ている。

 過去にもFRBは、政府の赤字財政支出を容易にするために意図的に低金利を維持しているという批判を受けてきたが、これを一貫して否定している。
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