両氏による初の日韓外相会談の冒頭、岩屋氏は「李在明政権の発足以降、日韓の政府間で緊密な意思疎通が行われている。両国はインド太平洋地域をはじめ、幅広い課題に緊密に連携して対応していくべきだ」と述べた。これに対しチョ氏は「李政権は、友好国との関係を強化しようという考えだ。厳しい国際情勢の中、友好国と緊密に連携し、意思疎通を図ることを通じて戦略を共に練ることができれば、危機を乗り越えていくことができる」と述べた。
両外相は、日韓国交正常化60周年にあたり具体的な成果を創出し、未来志向的な関係を目指していくことで一致したという。
また、通信社の聯合ニュースが外交部(外務省)の説明として伝えたところによると、両外相は会談に続き開かれたワーキングディナーで、両国関係の発展、地域情勢や国際情勢など、相互の関心事項について幅広く踏み込んだ意見交換を行ったという。
チョ氏は、先月4日に大統領に就任した李氏によって外相に指名され、国会での人事聴聞会を経て、このほど李政権の初代外相に就任した。韓国では、人事聴聞会は、高位公職者の資質と能力を国会が検証する制度。聴聞会では公職候補者がその職位にふさわしい人物かを出席議員が検証し、候補者が適任と判断されれば人事聴聞報告書が採択される。
チョ氏は今月17日、人事聴聞会に臨んだ。聴聞会では、2024年に世界文化遺産登録された新潟県佐渡市の「佐渡島の金山」をめぐり、出席の議員から、日本が登録の際に約束した内容を守っていないとの指摘が出た。これに対し、チョ氏は「日本との過去の歴史問題を完全に整理するのは不可能だと思う」とした上で、「歴史問題を一気に解決するのは難しい。安易に合意すれば、後になってから日本から『ゴールポストを動かした』と非難され、逆に反撃を受けることになる」と述べた。さらに、「日本に韓国の希望を伝えたり、強く要求したりしたとしても、日本の対応が容易に変わるとは思えない。忍耐強く、二国間及び多国間の場で、継続的に提起しながら、日本が自ら少しずつ変わるよう促すべきだ」と主張し、「未来志向公的な関係を損なわない、賢明な対応策を講じることを前提に進めていく」と強調した。
人事聴聞報告書が採択され、チョ氏はこのほど李政権の初代外相に就任した。チョ氏は南西部、チョルラプクト(金羅北道)キムジェ(金堤)市生まれ。外交官出身で、李氏と同じ革新系のムン・ジェイン(文在寅)政権時代の2017~19年に外務第2次官や第1次官を歴任。19年からは国連大使を務めた。対日外交では、日韓自由貿易協定(FTA)交渉などに携わった。
外相に就任したチョ氏は、初めての海外訪問先に日本を選んだ。韓国の外相が就任後に米国以外の国を最初の訪問先とするのは異例。朝日新聞は「日韓関係重視の姿勢を示した形だ」と伝えた。チョ氏は東京から、米ワシントンに向かい、31日(米国時間)にルビオ国務長官と会談する予定だが、朝鮮日報はチョ氏の訪日に先立ち、「韓国外相、訪米前に日本に立ち寄る理由」との見出しの記事を掲載。米韓間では現在、関税交渉が最大の懸案となっており、米国は8月1日から韓国からの輸入品に25%の相互関税を課すとしている。朝鮮日報は「日本が先日、米国と関税交渉で妥結したことを受け、チョ長官は日本に交渉でのアドバイスを求めるようだ」と報じた。
また、チョ氏は外相就任に先立ち、記者団から訪米計画を問われ「就任したら米国から訪問しなければならないという固定観念から脱却しなければならない」と述べており、今回、その発言通り訪米前に日本を訪れた形だ。朝鮮日報によると、チョ氏は最初の訪問先を決める際、戦略的柔軟性と実利を重視して検討するよう、外交部幹部らに指示していたという。
Copyrights(C)wowkorea.jp 5