人工知能を用いたデジタル教科書を教科書ではなく「教育資料」に格下げする法案が、23日に開かれる国会本会議で処理される見通しだ。先立って10日、共に民主党が教育委員会の全体会議を通過させたこの法案は、22日の国会法制司法委員会を通過し、この日の本会議を控えている。

国会法制司法委員会は、人工知能を用いたデジタル教科書を教科書ではなく「教育資料」に格下げするとした内容の初・中等教育法の一部改正法律案を票決処理したと明らかにした。

この改正案は人工知能を用いた教科書を教育資料とし、学校長が学校運営委員会の審議を経た上で使用できるよう規定している。2024年の12月にも同じ内容の法案が国会本会議で議決されたが、前政権が拒否権を行使し、施行されなかった。今回は新政権の発足によりこの法案が施行される公算が大きくなっている状況だ。

人工知能を用いた教科書は、ユン・ソギョル(尹錫悦)政権が最先端の人工知能機能を活用し、学生一人一人に合わせたオーダーメード型の教育を提供するために導入した。まず今年は数学・英語・情報科目に導入され、小学3年生から4年生、中学1年生、高校1年生に対して使用される。来年には小学5年生から6年生、中学2年生に使用を拡大する計画だったが、改正案の本会議でこの計画は修正が避けられなくなった。

人工知能を使用した教科書の開発に数十億ウォンから数百億ウォン(数億円から数十億円)を投資した発行会社の訴訟も続く見通しだ。地学社やYBM、天才教育など20のAIDT発行社は11日にソウル市ヨンドゥンポ(永登浦)区で記者会見を行い、「国会の教育委員会が通過させた小・中等教育法の改正案は未来教育システム全体を無力化させる決定であり、明白な教育政策の後退だ」として法的対応も辞さない立場を明らかにしている。

すでにYBMと天才教育は教育部の長官を相手取って行政訴訟を提起している。両社は今回の行政訴訟を手始めに今後民事訴訟、憲法訴訟を行うことを検討している。発行会社は「教科書の地位を事後的に否定することは遡及(そきゅう)立法と違憲の可能性がある」として「憲法訴訟と行政訴訟などすべての法的手段を動員する」と明らかにした。

両社は前日にも国会議事堂前で決起大会を開き、今回の立法の再検討を促した。天才教育のパク・ジョングァ代表は「今は法案の通過ではなく客観的検証と改善が必要な時だ」と述べ、「人工知能の世界3大強国、100兆ウォン(約10兆600億円)の投資、実用主義を標ぼうする現政権がなぜ教育分野にだけ人工知能を後退させようとするのか問いたい」と述べた。

教育部のチェ・ウンオク次官はこの日、国会法制司法委員会に出席し、「教科書ではなく教育資料とすることは決まった事項なので、現場の混乱を防止するために教育部としても最大限の努力をしていく」と述べた。
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