<W解説>参院選での与党大敗、韓国でも詳報=今後の日韓関係に懸念示す
<W解説>参院選での与党大敗、韓国でも詳報=今後の日韓関係に懸念示す
今月20日に投開票された参議院選挙で、自民・公明両党が大敗し、過半数割れとなったことは、韓国でも報じられている。各メディアは、韓国で「親韓派」とのイメージがある石破茂首相の求心力低下で、今後の日韓関係にマイナスの影響が及びかねないとの懸念を伝えている。一方、今回の参院選で躍進を遂げた参政党について、「強硬右翼」(朝鮮日報)などと表現し、警戒感を示した。

第27回参院選は20日、投開票され、自民・公明の連立与党は計47議席にとどまる大敗を喫した。非改選を含めた参議院全体での過半数(125議席)を割り込んだ。衆議院に続き参議院でも少数与党に陥ったが、石破首相は21日午後、記者会見し、続投を表明した。石破氏は「極めて厳しい審判をいただいた。自民・公明両党の有為な同志が議席を得られなかったことは痛恨の極みで、心より深くおわび申し上げる」と陳謝した上で、「厳しい中、比較第一党となる議席を頂戴した。今、最も大切なことは、国政に停滞を招かないことで、国家・国民に対する責任を果たしていかねばならない」と述べた。しかし、これには自民党内からも反発が出ており、「石破おろしが起きるのは時間の問題だ」と、退陣を求める声が相次いでいる。

今回の参院選は、韓国では投票が締め切られた直後から、通信社、聯合ニュースが日本メディアの出口調査の結果を速報するなど、関心の高さを示した。

自民・公明両党の歴史的な大敗を受け、韓国の主要各紙は「『親韓路線』石破(首相)の打撃は不可避、韓日関係に暗雲」(朝鮮日報)などといった見出しで伝え、韓国で「親韓派」のイメージがある石破首相の求心力低下と、今後の日韓関係に及ぼす影響ついて、懸念を交えながら伝えている。

先月4日に就任したイ・ジェミョン(李在明)大統領は、日本との現在の良好な関係を維持したい考えを示している。先月、カナダ西部のカナナスキスで開かれた先進7か国首脳会議(G7サミット)で、李氏は石破氏と初の首脳会談を行った。会談で石破氏は李氏に対し、「今年は日韓国交正常化60年という記念すべき年だ。政府や企業だけでなく、国民同士の交流も盛んになり、日韓の連携・協力が地域、世界のために大きな力となることを期待している」と述べた。これに対し、李氏は両国の関係について「まるで庭を一緒に使う隣人のように、切っても切り離せない関係だ」とした上で「小さな違い、意見の違いがあるが、その違いを越えて、両国が様々な面で互いに協力し、役に立つ関係へとさらに発展していくことを期待している」と述べた。両氏は首脳の相互往来「シャトル外交」を再開し、日韓関係の安定的発展を目指す考えも確認した。

だが、今回の参院選で与党が大敗したことから、朝鮮日報は「今後は日本の選挙結果が突発的に影響しそうだ」と懸念を示した。同紙は、「韓日関係は今年、国交正常化60周年だが、韓国で大統領選挙が前倒しされた中でも、両首脳の前向きな姿勢で順調に推移すると期待されていた」とした上で、選挙の敗北に伴う石破氏の求心力低下により「韓国に批判的な強硬保守の有権者を意識し、(韓国への)前向きな対応が難しくなるとの見方もある」と報じた。先月の首脳会談で、石破氏と李氏が再開することで合意したシャトル外交については「日本の政治状況によっては先送りになる可能性も考えられる」と懸念した。

また、韓国メディアは今回の参院選における参政党の躍進ぶりも伝えた。ハンギョレは「選挙前にわずか2議席だった参政党は一瞬にして14議席を獲得するなど突風を起こした」と報じた。聯合ニュースは同党について「外国人への規制強化や、『日本人ファースト』を掲げる右翼の少数政党」と紹介。今後の勢力拡大に警戒感を示した。文化日報は社説で、「極右野党が歴史と領土問題を掲げ、政権を揺さぶり続ければ、(日韓)協力が揺らぐ恐れがある」と懸念した。
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