先月4日に大統領に就任した李氏は、閣僚候補の人選を進め、指名された16の省庁の閣僚候補の人事聴聞会が今月14日から18日まで行われた。人事聴聞会は、高位公職者の資質と能力を国会が検証する制度。韓国は2000年にこの制度を始めた。聴聞会では公職候補者がその職位にふさわしい人物かを出席議員が検証。聴聞会で候補者が適任と判断されれば人事聴聞報告書が採択され、大統領が任命を下し、候補者は正式に就任する。報告書が採択されなくても大統領は任命が可能で、形骸化との批判もある。
李氏は先月、外相候補にチョ氏を指名した。当時、大統領室はチョ氏について「2国間や多国間外交の外交経験が豊富で、通商問題にも詳しい」と紹介した。
チョ氏は南西部、チョルラプクト(金羅北道)キムジェ(金堤)市生まれ。外交官出身で、李氏と同じ革新系のムン・ジェイン(文在寅)政権時代の2017~19年に外務第2次官や第1次官を歴任。19年からは国連大使を務めた。対日外交では、日韓自由貿易協定(FTA)交渉にも関わったほか、18年には訪日して外務事務次官と会談し、慰安婦問題に関する日韓合意に基づき設立した「和解・癒し財団」を解散する意向を伝えた。日韓合意では慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」をうたったが、当時の文政権は被害者の声を十分に聞いていないとして18年に事実上、合意を白紙化した。「和解・癒し財団」は、同合意に基づき日本政府の資金拠出により設立されたが、19年7月に解散した。
李氏から外相候補に指名されたチョ氏は17日、国会の人事聴聞会に臨んだ。聴聞会では、2024年に世界文化遺産登録された新潟県佐渡市の「佐渡島の金山」をめぐり、出席の議員から、日本が登録の際に約束した内容を守っていないとの指摘が出た。これに対し、チョ氏は「日本との過去の歴史問題を完全に整理するのは不可能だと思う」とした上で「歴史問題を一気に解決するのは難しい。安易に合意すれば、後になってから日本から『ゴールポストを動かした』と非難され、逆に反撃を受けることになる」と述べた。さらに、「日本に韓国の希望を伝えたり、強く要求したりしたとしても、日本の対応が容易に変わるとは思えない。忍耐強く、二国間及び多国間の場で、継続的に提起しながら、日本が自ら少しずつ変わるよう促すべきだ」と主張し、「未来志向公的な関係を損なわない、賢明な対応策を講じることを前提に進めていく」と強調した。
チョ氏は、北朝鮮との対話再開に向けた米韓合同演習の調整の必要性にも言及。「韓米同盟を基礎として、合意によって若干の調整が必要なら、できると考える」と述べた。
また、米国との関税交渉についてチョ氏は、トランプ米大統領が提示した相互関税の猶予の満了日である8月1日までに交渉妥結は可能との考えを示し、就任後、直ちに訪米し、最後の交渉に臨むと明らかにした。
チョ氏をめぐって最大野党「国民の力」は、土地投機疑惑を指摘し、当初、高位公職者としての資質を疑問視していた。しかし、同党は人事聴聞報告書の採択に協力することにした。同党のソン・オンソク非常対策委員長兼院内代表は「米国の相互関税の適用まで2週間を切っている切迫した状況のため、企画財政部や外交部、産業部長官候補の聴聞報告書を早期に採択し、関税交渉に直ちに投入できるよう協力する」と述べた。
チョ氏は近く、正式に外相に就任する。
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