韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領とトランプ米大統領=(EPA=聯合ニュース)
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領とトランプ米大統領=(EPA=聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国南東部・慶州で10月31日から2日間の日程でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催される。開幕まで約100日となり、政府は万全の態勢で臨むため準備を進めている。

 今回のAPEC首脳会議は6月に李在明(イ・ジェミョン)政権が発足してから韓国で初めて開かれる多国間首脳会議だ。昨年末の「非常戒厳」宣言に端を発する一連の混乱で生じた外交の空白を解消し、国際社会をけん引する国としての立ち位置を固める機会にするべきとする声が出ている。

 トランプ米大統領や中国の習近平国家主席など、主要国の首脳が出席すれば、李大統領としても、これまで主張してきた国益中心の実用外交を思う存分繰り広げる舞台が整うという点で、意味が小さくない。 

 ただ、米中の対立や米国の関税強化策などデリケートな外交問題が山積している状況で、今回のAPEC首脳会議は李大統領の手腕を図る試金石にもなりそうだ。

 そのため、開幕まで、ち密な外交戦略を心血を注いで用意しなければならない。

 李大統領は16日、米国、日本、中国、ロシア、カナダ、ベトナムなどAPEC加盟国に首脳らを招待する書簡を発送した。

 与党関係者は21日、「APECは経済協力体であるだけに、各国の経済官庁や民間企業の議論が重要なのも事実だが、何といっても首脳の参加可否に視線が集まるのは事実」とし、「結局、主催国としては最大限多くの首脳の訪韓を実現させるのが第一の課題」と述べた。 

 特にトランプ氏と習氏が同時に参加すれば、一気に注目度が高まる可能性がある。

 現時点で習氏の出席は有力視されている。

 トランプ氏の出席についてはまだ断定できない状況ではあるものの、政界関係者の間では可能性は十分あると期待されている。 

 トランプ氏の来韓に合わせて韓米首脳会談が開催されれば、韓米同盟の強化や経済協力について深い議論が行われる可能性があり、注目される。 

 現在、最大の懸案となっている両国の関税交渉がAPEC首脳会議開幕までにどのような方向に進むのか見極めるのは難しい状況ではあるものの、同問題を含め、防衛費問題や造船産業協力など広範囲な分野で協議が進展する可能性がある。

 一部では、李大統領がAPEC前にも韓米首脳会談の機会を設け、両国の立場を調整しておくべきだとする主張も出ている。 

 また与党内からはトランプ氏の来韓は米朝関係改善や朝鮮半島の平和体制を巡る議論を発展させる機会になりうるとする指摘も出ている。

 統一部長官候補に指名された鄭東泳(チョン・ドンヨン)国会議員は14日に国会で開かれた自身の人事聴聞会で、APEC首脳会議に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)を招くことを検討するとし、「APECが朝鮮半島の平和(について話し合う)のテーブルになれば、めでたいことであり、輝かしい意味を持つことになるだろう」などと述べた。 

 ただ、大統領室の姜由楨(カン・ユジョン)報道官は金正恩氏のAPEC首脳会議への招待について、外交部や統一部で検討する内容などと慎重な姿勢を示した。

 日本の場合、李大統領が就任から2週間の時点で石破茂首相と首脳会談を開くなど、良い流れが続いている。

 ただ、日本の政治状況が20日に投開票された参院選の影響でどのように変化するかわからないとする指摘もある。

 外交戦のほかにも、APEC首脳会議の期間中、慶州には世界の企業や民間団体の関係者らが集まり、活発な交流の場を持つものとみられる。 

 政府はこの期間、各国の代表団約4000人に加え、企業関係者など計2万~3万人が来韓すると予想している。

 金民錫(キム・ミンソク)首相はAPEC首脳会議の準備委員長として、随時慶州を訪れて現場を点検している。

 首脳らの宿泊先や実務者・報道陣が使用する施設の視察にとどまらず、古都・慶州の文化コンテンツを十分に活用するアイデアや構想まで、金首相が陣頭指揮をとっている。

 大韓商工会議所も18日に慶州で「APEC経済人行事推進委員会」の第2回会議を開き、首脳会議期間に世界の企業経営者や役員など約1700人が参加する「APEC CEOサミット」の準備状況を点検するなど民間分野も準備を進めている。


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