韓国軍の対北朝鮮宣伝用拡声器(資料写真)=(聯合ニュース)
韓国軍の対北朝鮮宣伝用拡声器(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の情報機関・国家情報院(国情院)が数十年間行ってきた北朝鮮向け放送を中断したもようだ。

 韓国の北朝鮮向けラジオ放送「国民統一放送」のイ・グァンベク代表は21日、聯合ニュースの取材に対し、「国情院の対北ラジオ放送チャンネルが今月に入って相次いで送出を中止した」と述べた。「北朝鮮改革放送」のキム・スンチョル代表も「1980年代から放送してきた国情院の対北ラジオが送出されていない」と明らかにした。

 国情院の北朝鮮向けテレビも放送を中断したもようだ。

 ただ国情院は北朝鮮向けラジオとテレビ放送を中断したかどうかについて、「確認できない」と説明した。

 政権による差はあったが、韓国社会の魅力を伝え、北朝鮮政権を批判してきた国情院の北朝鮮向けラジオとテレビ放送の中断は朝鮮半島の緊張緩和に向けたメッセージとみられる。

 李在明(イ・ジェミョン)政権は北朝鮮に向けて体制批判のビラを飛ばす民間団体に散布の中止を求め、南北軍事境界線付近での拡声器による対北朝鮮宣伝放送を中止した。

 ただ、批判的な見方もある。国民統一放送のイ代表は「平和と共存に関する内容を放送すれば良いのに、なぜ北の住民に対する情報提供自体を中断するのか」と指摘した。

 一方、李政権は南北関係改善のため、気候変動への対応や人道協力、スポーツ・文化・宗教交流など、北朝鮮が受け入れる可能性がある政策の検討に入った。北朝鮮観光もその一つとされる。観光は東部・元山などの観光地を開発し、外国人を誘致しようとする北朝鮮が関心を持つ可能性がある。国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁にも反しない。

 だが、南北関係を「敵対的な二つの国家」と位置付けた北朝鮮が応じる可能性は低く、観光によって北朝鮮に現金が流れるため、米国との協議も容易ではないとみられる。


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