発言する朴尚美氏(世界遺産委のライブ配信より)=(聯合ニュース)
発言する朴尚美氏(世界遺産委のライブ配信より)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】国連教育科学文化機関(ユネスコ)韓国政府代表部の朴尚美(パク・サンミ)大使は15日(現地時間)、フランス・パリで開かれた世界遺産委員会で、長崎市の端島(通称・軍艦島)などで構成する「明治日本の産業革命遺産」を巡り、同島であった強制労働を含む「歴史全体」を伝えるという日本の約束が十分に履行されていない問題について、2国間で協議を続けるものの、進展がなければユネスコが介入しなければならないと強調した。

 朴氏は日本の約束の履行状況に対する評価が世界遺産委の正式な議題として採択されなかったことについて、「遺憾に思う」と述べた。

 韓国は日本の措置が十分ではないとして正式議題とすることを提案したが、日本は2国間レベルで議論すべき問題だとして反対の立場を示し、この案件を削除した修正案を提出。韓国は受け入れられないとして採決を要求した。21の委員国による投票が行われ、日本の修正案は賛成7、反対3で可決された。

 朴氏は同遺産について、世界遺産委が4回の決定を通じて全体の歴史が理解できる「説明戦略」の策定を日本側に要請した点は注目に値するとし、「しかしながら、ほぼ10年が過ぎた今も履行が不十分であることを憂慮する」と指摘した。

 2015年の登録当時、日本政府は同地で朝鮮半島出身者の強制労働があったことを説明すると約束したが、十分に履行されているとは言えない状況だ。特に20年に東京に開設された「産業遺産情報センター」では、朝鮮半島出身者の強制労働について全く扱われず、日本の産業化を誇る内容だけが掲示されるなど、歴史の歪曲(わいきょく)と指摘されている。同センターが遺産から遠く離れた東京に設置されたことも問題視された。

 朴氏は「韓国は委員会決定の完全な履行を支援するために今後も建設的かつ責任ある姿勢で2国間協議を含め最善を尽くす」とし「日本がこの過程に建設的かつ責任ある姿勢で参加し意味のある進展がなされることを心より希望する」と話した。

 そのうえで「このような努力にもかかわらず東京の産業遺産情報センターの解釈戦略の不備が解決されなければ、委員会は持続的な責任の一環としてこの問題に対する関与を維持しなければならない」と指摘した。


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